COLUMNSコラム: 作品を知る
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静物には、必ず台がある——マネ・スネイデルス・コールテほか九点
卓、棚、石の縁。物が載る面が、視点と奥行きを決める。台は背景ではなく、構造である。九点で、その材料と高さを読みたい。台を持たない静物も、一点だけ混じっている。縁から物をはみ出させる技法も、あわせて読みたい。
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木から皿まで、実の三つの段階——歌麿・カトリン・ファンタン=ラトゥールほか九点
実は、木になり、摘まれ、盛られる。絵に描かれるのは、たいてい途中か終わりである。九点で、その道筋を追いたい。齧られた跡のある実は、九点のうち一点にしかない。九点のうち五点に葡萄が出るのも、理由がある。
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四百年、同じ構図が続く——ルノワール・セザンヌ・ルドンほか九点の花瓶画
器があり、花が広がり、背景が暗い。この形は、十七世紀から二十世紀まで動いていない。変わったのは、地の色と器の材料である。九点で、その変化を追いたい。花のない一点も混じっている。落ちた花びらが、人の手の跡を残している。
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花は、置かれる場所が決まっている——器・縁・隙間・頭の上ほか九点
花は、絵のなかでほとんど主役にならない。器の腹、皿の縁、布の端、頭の上。置かれる場所が決まっている。九点で、その六つの位置を数えたい。題に花の語が入るのは、二点だけである。描かれた花の数と色も、あわせて数えたい。
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戸口が、人を切り抜く——欧米絵画・版画・素描ほか九点
戸口は、四角い枠である。そこに人が立つと、額に入ったように見える。そして、向こう側の空間が見える。九点で、戸口の使われ方を読みたい。開いた戸と閉じた戸では、意味が変わる。戸口の奥をどこまで描くかも、九点で分かれる。
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窓は、絵のなかの絵である——欧米の室内画・版画ほか九点
窓を描くと、その四角のなかに別の景色が入る。室内の暗さと、外の明るさが同居する。九点で、窓の形と位置を読みたい。窓の外を描かず、白く飛ばす方法もある。窓の桟が、外の景色を分割する働きも持つ。九点で、その形を数えたい。
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影は、どちらへ伸びているか——欧米絵画・版画・素描ほか九点
影の向きは、光の向きの裏返しである。だから、影を見れば、太陽の位置が分かる。九点で、影の長さと方向を測りたい。影をまったく描かない絵も、そのなかに混じる。影の色を何色で塗るかも、九点で分かれている。黒で塗る例は少ない。
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画面のなかに、光源を置く——蝋燭・ランプ・提灯ほか九点
光の出どころを画面に描くと、影の向きが決まる。そして、光源に近いものが最も明るくなる。九点で、その並び方を読みたい。光源を隠して、明るさだけを見せる絵もある。光源の数が二つになると、影が重なりはじめる。
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夕方は、空の色だけで示す——欧米の風景画・版画ほか九点
夕方を描くとき、時計は描けない。空の色を変えるしかない。橙、赤、紫、そして灰。九点で、夕暮れの色の幅を並べたい。地上を暗くすると、空の明るさが際立つ。同じ橙でも、朝と夕で使い方が変わる。九点で、その差も確かめたい。
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満月は、円い空白である——広重・北斎・欧米の夜景ほか九点
月を刷るには、円を残す。周りを刷って、中を空ける。その円が、画面のどこにあるかで夜の深さが変わる。九点で、月の位置と大きさを測りたい。欠けた月を描いた例は、この九点にない。月を隠す雲の描き方も、あわせて読みたい。
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白は、刷らずに残す——広重・北斎・欧米の版画ほか九点
版画の白は、絵具ではない。紙をそのまま残した部分である。だから、白を作るには彫って落とすしかない。九点で、残された白の働きを読みたい。雪も、波も、光も、同じ紙の色である。紙の地の色そのものが、九点で少しずつ違う。
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水面は、上下をひっくり返す——広重・欧州絵画・掛軸ほか九点の映り込み
水は、空と岸を逆さに映す。そして、映った像は少し崩れる。その崩し方に、描き手の判断が出る。九点で、映り込みの描き分けを読みたい。鏡のように映す絵は、意外に少ない。波を立てると、映った像がほどけていく。
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一本の木が、画面を支える——広重・米国風景画・掛軸ほか九点
画面の端に、大きな木を一本立てる。すると、その向こうが遠くに見える。木は、距離の物差しになる。九点で、木の置き場所を測りたい。左に立つ例が、右に立つ例より多い。幹の太さと、枝の広がり方も比べたい。葉の描き込みにも差がある。
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山は、いちばん上にある——富士・アルプス・中国の峰ほか九点
遠い山は、画面の上に置かれる。そして、輪郭だけになる。色は薄く、細部は消える。九点で、山がどこまで簡略になるかを追いたい。手前の山と奥の山では、青みの強さが違う。名を持つ山と、名のない山が並ぶ。稜線の重ね方も比べたい。
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高さは、上下に積んで示す——掛軸・版画・欧州絵画ほか九点の縦構図
縦長の画面では、上へ積むしかない。山、木、塔、滝。そのどれもが、下から上へ重ねられる。九点で、高さを見せる方法を数えたい。掛軸の記録は、画面と表装で二つの寸法を持つ。上に行くほど、描き込みが減っていく。
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道が、奥へ入っていく——広重・北斎・バルビゾンの画家ほか九点
道は、見る側を絵のなかへ引き込む。手前で広く、奥で細くなる。その細り方が、距離を決める。九点で、道の消え方を読みたい。曲がる道と、まっすぐな道では、伝わる距離が違う。道の上を歩く人が、距離の目安になっている。
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橋は、画面を横切る線である——広重・歌麿・オランダ絵画ほか九点
橋は、二つの岸をつなぐ。同時に、画面を上下に分ける線にもなる。だから、どの高さに置くかで構図が変わる。九点で、橋の角度と位置を測りたい。斜めに架かる橋は、奥行きを作る。渡っている人がいるかどうかも、あわせて数えたい。
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舟は、水平線を示すために置かれる——広重・北斎・ターナーほか九点の遠景
海だけを描くと、水面が壁に見える。そこへ小さな舟を一艘置くと、奥行きが出る。舟の大きさが、距離の目安になるからである。九点で、遠くの舟が何をしているかを読みたい。帆の形が三通りに分かれる。帆を張った舟と、櫓で進む舟が混じる。
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小さく描かれた人が、風景を広げる——広重・コロー・カルロ・ドルチほか九点
遠くの人は、点にしかならない。それでも、そこに人がいると分かる。輪郭の要点だけが残るからである。九点で、人物の大きさと風景の広さの関係を測りたい。画面の高さの十分の一を切ると、顔は描かれなくなる。部門をまたいで、同じ扱いが現れる。
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一つの主題だけを、集める——ガーツ夫妻のアメリカ静物画、2003年から2018年
花、果物、野菜。二十九点すべてが静物である。壁に影を落とす葡萄、切られた檸檬、楕円の木苺、地面ごと描かれた野の花。年記なしが九点。長く格が低いとされた分野を集めた仕事を読みたい。小さな絵ほど額の比率が大きくなることにも触れたい。
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