COLUMNSコラム: 名画の楽しみ方

  • 名画の楽しみ方

    工房と、画室——ベリーニとティツィアーノの周辺

    日本語にすればほとんど同じ二つの語が、館の記録では書き分けられている。周辺、追随者を加えれば五つ。九点の作者の欄に付く語を並べ、五つの距離がどう違うのかを読みたい。署名があるのに、工房とされる一点もある。

  • 名画の楽しみ方

    寸法の欄に、重さがある——十八世紀アメリカの銀器

    銀の器の記録には、必ず重さが二つの単位で書かれる。取引に使われた古い単位と、いまのグラムである。本体と蓋で重さを分ける点もある。材料が記録の形を決めることを読みたい。把手と注ぎ口の幅が、同じ数字になる点もある。

  • 名画の楽しみ方

    一枚の紙に、二つの番号——スケッチブックの表と裏

    番号の末尾に、表と裏の語が付く。同じ紙の両面が別々に登録され、題も別々である。表と裏で縦横が入れ替わる件もあり、綴じ穴が写真に残る件もある。素描をどう数えるかを読みたい。四隅が切り落とされた一点もある。

  • 名画の楽しみ方

    名の前と、名のあいだに語が付く——フランケンとネーフスの共作ほか

    〜に倣う写し。〜の追随者。おそらく〜による。そして、〜が完成させた。九点の作者の欄には、名のほかに短い語が入る。語ごとに距離が違う。生没年の欄が別人を指す例も読みたい。対の絵が、同じ番号の枝を持つ。未完の絵を、別の人が仕上げた一点もある。

  • 名画の楽しみ方

    寸法の欄に、形の名が書かれる——スミソニアンの細密肖像

    楕円。長方形。八角形。数字のあとに、画面の形が記録される。同じ形式の作品でも、館が変われば欄が変わる。裏面まで写す写真もある。二つの館の記録を並べて読みたい。一人の作者が、九点のうち五点を占める。大きさは、五倍に散らばる。

  • 名画の楽しみ方

    作者の欄に、世紀と地域だけがある——十九世紀アメリカの肖像

    人の名ではなく、十九世紀アメリカ。粒度の粗い作者の欄が九点並ぶ。銘記の欄に偽の署名とある一点、署名が取り除かれた一点もある。名がなくても記録は書けることを読みたい。対になった肖像が、二組含まれている。

  • 名画の楽しみ方

    寸法の欄に、見え掛かりとある——象牙に描く細密肖像

    覆いの窓から見える範囲を、見え掛かりという。細密の肖像は枠に嵌まり、絵の縁が隠れる。だから記録は象牙全体と、見えている部分を分けて測る。隠れた縁が何を語るのかを読みたい。三センチの絵に、顔が描かれている。

  • 名画の楽しみ方

    人の名と、会社の名が並ぶ——アメリカン・ポタリーのティーポットほか

    意匠を担う人と、製造する会社。九件の作者の欄には、二つの名が並ぶ。ところが順序は三組で入れ替わり、同じ型から二つの色が出る件もある。順序に意味があるかどうかを読みたい。意匠の人が、建築家である一件も含まれる。

  • 名画の楽しみ方

    作者の欄に、売った人の名がある——家具金物四十一件のうち九件

    作った人ではなく、売った人。九件の作者の欄には、同じ小売店の名が入る。品名も材料も同じで、違うのは番号と寸法だけである。一枚の写真を三つの記録が共有する例もある。名が残る条件を読みたい。群の全体は、四十一件である。

  • 名画の楽しみ方

    役割の欄に、かつての帰属とある——コプリーの作とされた肖像ほか

    以前はこの人の作とされていた。九件の役割の欄には、取り消された名が残されている。消せば過去の資料とつながらなくなるからだ。取り消される名ほど有名である理由を読みたい。一枚の絵が、二つの番号を持つ件もある。

  • 名画の楽しみ方

    一件の中に、九十七枚が入る——葛飾北斎と門人の画帖ほか

    九十七葉の画帖。八十八枚の版画からなる画帖。技法の欄に、枚数がそのまま書かれる。番号の枝と枚数が合わない件もあり、公開画像は一葉しか写さない。何枚を一件とするかを読みたい。厚さの欄が、枚数を裏づける件もある。

  • 名画の楽しみ方

    二挺で、一件と数える——対の拳銃と三通りの番号

    対の拳銃は、二挺で一つの品として登録される。ところが番号の書き方は三通りに分かれ、寸法も各と書くか片方だけ書くかで揺れる。百年ぶんの記録の揺れを、九件の欄から読みたい。番号の枝が、付属品まで数える件もある。

  • 名画の楽しみ方

    一領が、番号の中で分解される——ヘンリー8世の甲冑ほか

    19.131.1のaからr、tからw。一領の甲冑に、これだけの枝番が与えられる。小文字は胴、背、肩、腕と部品を数える。番号の長さが部品の数を映し、一つ飛んだ文字が欠けを示す。数え方を読みたい。全高と重さが、並んで書かれる。

  • 名画の楽しみ方

    作者の欄に、文化の名が入る——シカゴ美術館の古代アメリカ

    モチェ。チムー。ナスカ。九点の作者の欄に並ぶのは、土地と時代でくくられた文化の名である。ただし一点だけ、個人の名が残っている。名がないと書く書き方と、その例外の一点を読みたい。年の欄が、六百年の幅を持つ件もある。

  • 名画の楽しみ方

    作者の欄に、工場の名が入る——マイセンとセーヴル

    マイセン磁器製作所(1710年から現在)。十点のうち四点の作者の欄は、人ではなく組織の名で始まる。型、装飾、花、鳥。四つの役を書き分ける欄もある。名が残る人と残らない人を分けるものを読みたい。出所の行が、三十を超える名で埋まる一点もある。

  • 名画の楽しみ方

    技法の欄が、一語で終わる——シカゴ美術館の彫刻十点

    大理石。木。石膏。テラコッタ。彫刻の技法の欄は、材料の名だけで終わることが多い。絵画のように支持体と絵具を重ねて書く必要がないからだ。短い欄が何を決め、何を書き落とすのかを読みたい。受入の年は、九十年に散らばっている。

  • 名画の楽しみ方

    作者の欄に、民族と地域が入る——シカゴ美術館のアフリカ美術

    エジプト。ファン、ガボン、中央アフリカ。九点のうち八点の作者の欄には、人の名がない。一点だけ彫り手の名が残っている。名がないとき記録は何を書くのか、そして残った一点は何が違うのかを読みたい。年の欄が、三段になる一点もある。

  • 名画の楽しみ方

    題が、器の名でできている——シカゴ美術館のギリシア陶器

    カンタロス、ヒュドリア、アンフォラ。十点の題は、いずれも器の種類の名である。作者の欄には通称が入り、技法の欄はテラコッタの一語で足りる。名を先に置き、用途を括弧で後に置く書き方を読みたい。十点の年は、二百五十年に散らばっている。

  • 名画の楽しみ方

    年の欄に、王朝の名が先に来る——シカゴ美術館のアジア美術

    サファヴィー朝(1501年から1722年)、1535年ごろ。一つの欄に、王朝の続いた期間と制作年が二段で入る。十点のうち五点がこの形をとる。下絵と彩色を書き分ける欄もある。部門が変わると欄の使い方がどう変わるかを読みたい。

  • 名画の楽しみ方

    番号が、二つの数字でできている——シカゴ美術館

    年と通し番号。シカゴ美術館の作品番号は、数字が二つで足りる。ただし九点の番号は七通りの形をとる。文字の枝番、番号の範囲、そして年が最後に来る貸与の番号。番号の設計を、館ごとの違いから読みたい。紀元前の器と二十世紀の図面が、同じ形式で並ぶ。

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