COLUMNSコラム
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画家を知る
同じ図が、二通りに記録される——喜多川歌麿
まったく同じ図が、一方では三枚続きの右、他方では二枚続きの右と記録されている。題も年も違う。組の枚数が変われば、場面の広さも変わる。台所、刺身、貝取り、漁。働く場面を描いた九枚を、記録の側から読みたい。
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画家を知る
同じ顔が、二枚ある——トマス・サリー
夫人の肖像が、四センチ八ミリの象牙と七十四センチの油彩で残る。三十年の間隔がある。同じ人物の肖像が、二つの館に同じ年で残る例もある。子どもの人数が増えるほど画面が大きくなる三枚も並べ、寸法から読み直したい。
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画家を知る
写生帖の、一頁ずつ——ジェームズ・マクニール・ホイッスラー
一冊の帖の頁が、一枚ずつ番号を与えられている。題には綴りの誤りと疑問符が並び、別の一点には原文のままという印が付く。技法の欄から一語が抜けた記録もある。台紙に貼られた紙と番号の対応まで、そのまま見たい。
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画家を知る
版画ではなく、筆で描いた九点——葛飾北斎
鍾馗を三度、多色と墨と赤で描く。同じ人物なのに、題の名は日本語の読みと中国語の読みに分かれる。年の欄も、年記がある、一年、世紀、世紀の幅と四通りある。掛物と台紙貼りと表装なし。仕立ての違いまで記録される。
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画家を知る
題に、距離が書いてある——ジョージ・カトリン
セントルイスより百十マイル、八百七十マイル、千九百マイル。題が地図の役目をする。地名の少ない土地では、河口からの距離が位置を示した。同じ大きさの布を続けて使った六枚と、三十年後に描かれた二枚を並べる。
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画家を知る
店の名が、題になる——歌川広重
江戸の料理屋を描いた九枚である。右上に同じ形の題箋があり、同じ叢書に見える。ところが館の記録で叢書の名が入るのは二枚だけで、錦絵という語が付くのも同じ二枚である。店の内と外、庭と通り。判型と記録の両面から見たい。
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美術史・技法
賞として、贈られる——十九世紀アメリカの賞牌
会社に贈られた銀の賞牌が、二十二年後にその会社の名を持つ人から館へ渡る。同じ図でありながら題の違う二点、材の欄が金属とだけ書かれた一点。贈った側と受け取った側が題に並ぶ、金属に書かれた証書としてのメダル九点を見る。
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美術史・技法
北米で、磁器をどう作るか——三社の答え
鷲と盾を型で押した水差し、青と金の食器、そして釉薬をかけない白い浮き彫り。三つの工房が、それぞれ別の方法を選んでいる。画像に三枚の皿が写る記録、カップだけが題で受皿が入らない記録もある。九点を並べて読む。
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美術史・技法
流すか、描くか——米国の美術陶器・三つの工房
釉薬の流れに任せる工房、筆で花を描く工房、そして器に風景画を描く工房。同じ時代の北米に、三つの答えがあった。炻器と陶器という材の違いが、そのまま表現の違いになる。一人の収集家がまとめて館へ渡した九点で見る。
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画家を知る
同じ図を、違う材で——デュヴィヴィエ
同じ型で打ったメダルが、金めっき青銅、おそらく真鍮、青銅と三点並ぶ。別の図も、青銅、鋳鉄、銀の三点で残る。材が変われば値も変わり、贈る相手も変わるのだろう。作品そのものに赤い番号が書かれた一点もある。
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画家を知る
六点の記録が、まったく同じ——リチャーズ・アンド・ハートリー社
題、年、技法、寸法、来歴。六点の欄がすべて一致し、違うのは収蔵番号だけである。型押しで作られた証拠だろう。それでも画像を見れば、乳白色の広がる範囲が一点ずつ違う。量産の中に残る揺れを、六点で確かめたい。
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画家を知る
「アメリカまたはフランス」——ランケ=ルプランス
館の産地欄に、二つの国が並ぶ。材の欄にも、林檎材または梨材とある。二重の留保である。さらに、肘掛けのない三脚が肘掛け椅子と同じ数字を持つ。決められないことを決めない記録を、椅子六脚と卓一点で見る。卓の材だけは特定されている。
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画家を知る
肘掛けがあるのに、題は椅子——ジョゼフ・ミークス・アンド・サンズ
原語の題は、肘掛けのない椅子を指す語である。ところが写真には肘掛けが写る。さらに四脚が、姿の違いを越えて同じ寸法を与えられている。同じ年、同じ寄贈で館へ入った七脚の記録を、そのまま並べて読みたい。組が揃って残る例は少ない。
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画家を知る
艶のない釉薬——ヴァン・ブリグル陶器会社
釉薬は普通、艶を持つ。ところがこの工房は艶を消す。すると、器の壁から浮き出た草の形がよく見える。七点とも同じ人の寄贈で、同じ年に館へ入った。1901年から1904年という四年のあいだに、形も色も変わっていく。
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画家を知る
寸法は得られない、と書く——ホッブス・ブロクニア社
館の寸法欄に数字がなく、得られない、と書かれた一点がある。欄を空けずに未記録であることを明示している。型押しと吹き、鉛硝子の切子、そして色の名まで含む長い技法欄。九点の硝子から、記録の書き方の幅を見たい。
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画家を知る
寄贈の年より、受入の年が早い——オット・アンド・ブルーワー
来歴には寄贈2015年とあり、受入年の欄には2008年とある。七年ずれる。館の記録は理由を書かない。白い磁器の野球選手像、およそという語の付く高さ、綴りに空きのない寄贈者名。九点の記録の揺れをそのまま並べる。
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画家を知る
綴りの誤りごと、題になる——ジェームズ・アンド・ラルフ・クルーズ
皿の裏に刷られた印の文字が、そのまま館の題になる。だから川の名の綴りが入れ替わったままの題が二枚ある。英国で作り、北米で売るための器である。九枚の直径と印の文字から、量産と記録の関係を読みたい。裏の印は、使うときには見えない。
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画家を知る
年の末尾に、疑問符が付く——エドワード・ブルース
館の年の欄に、1926年から1934年、そして疑問符とある。幅があり、さらに留保が重なる。一年、幅、そして幅と疑問符。確かさに三段階がある。油彩に蝋を混ぜた一枚、板紙に裏打ちされた三枚。七枚の風景を記録の側から見る。
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画家を知る
輪郭が、背景に溶ける——ジョージ・フラー
人物の輪郭が定まらない。近い人物も遠い人物も、同じように背景へ溶ける。三枚は色のない古い記録写真で公開され、画面には細かい罅が走る。館の題が時代の分類語をそのまま用いる一枚もある。七枚を、記録の言葉ごと扱いたい。
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画家を知る
同じ題が、五点並ぶ——ウィリアム・M・S・ドイル
六点のうち五点の題が、紳士の肖像である。名が伝わっているのは自画像の一点だけになる。題で呼べないなら、区別は収蔵番号に頼るほかない。額の内側という但し書きが前半の三点だけに付く点も含め、記録の姿を見る。
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