COLUMNSコラム
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画家を知る
違いは、肘掛けだけである——ダンカン・ファイフの椅子
九点の椅子は、題が肘掛けの有無だけで分かれている。五点と四点、それ以外に区別する言葉がない。同じ工房の同じ形が並ぶとき、頼れるのは寸法と収蔵番号になる。家具の記録の作りを見たい。品目の名は、九点とも同じである。
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題が、出どころを書く——アッシャー・ブラウン・デュランド
題に、何にもとづいて作ったかが書かれている。版刻の仕事では、元になった絵の作者が題に入る。二つの館で書式が分かれ、二つの形式が混じる。彫って、描いた画家の記録を、題の側から読みたい。四つの群に分けて、順に見たい。
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同じ言葉が、二点を指す——アンリ・ファンタン=ラトゥール
自画像、という同じ題の作が二点あり、別の館に収まっている。題だけでは、どちらを指すか決められない。九点は人と花に分かれ、判型も広く開く。同じ言葉が二つを指すとき、記録は何で区別するのかを見たい。人と花で、六点と三点に分かれる。
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地名が、二つの大陸にまたがる——ジョージ・イネス
題の地名をたどると、九点は二つの大陸に散る。何を描いたかより、どこで描いたかが先に書かれている。判型の幅は十倍近くあり、館ごとに書式も違う。地名という手掛かりから、長い仕事の幅を眺めたい。題に出る国は、三つある。
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同じ島を、二度描く——イーストマン・ジョンソン
同じ島の同じ仕事を描いた二点が、別の題で登録されている。題は違うのに、中身はよく似ている。九点の支持体は六通りに分かれ、板と紙とカンヴァスが混じる。素材の欄から、島の絵の並びを読み直したい。題には、三つの街の名が並ぶ。
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一つの題に、二つの訳がある——ポール・ゴーギャン
原語の題と、それを訳した題が、記録に並ぶ二点がある。訳すとき、何かが必ず足され、何かが落ちる。描かれた土地には人が暮らしており、描いたのは外から来た人である。題の訳と、そこから漏れるものを見たい。三つの館の書式も、揃わない。
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同じ人の肖像が、二つの館に分かれる——エドゥアール・マネ
同じ人物を描いた二点が、別の館に収まっている。一方の題には描いた場所が入り、他方には生没年が括弧で付く。館ごとの作法が、そのまま題の形に出る。寸法の桁も、区切りの記号も揃わない。九点を並べて、書式の差を見たい。
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題が、一語で足りている——ウィリアム・メリット・チェイス
九点のうち四点は、題が一語しかない。人の名が二点、種類の名が二点である。短いぶん、年や寸法や出所の欄が働く。寄贈の年と受け入れの年が三年ずれ、一つの寸法欄で単位の順が逆になる。一語の題の周りを読みたい。
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題の括弧に、画家の名が入る——ジャスパー・フランシス・クロプシー
四点の素描の題に、画家の名を冠した束から来た、と括弧で書かれている。中身は作品の説明ではなく、出どころである。うち一点だけ、括弧の中の空きが二つある。残る五点は読点と横棒で地名を並べる。題の区切りから記録を読みたい。
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六点の題が、四つの語しかない——チャールズ・カートリッジ・アンド・カンパニー
碗、皿、水差し。器の題は、種類の名で足りてしまう。同じ題が二点ずつ並び、区別は寸法と収蔵番号に移る。皿の二点は同じ写真で公開され、出所の行では世代を示す語が片方だけ落ちている。八年しか続かなかった会社の記録を読みたい。
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同じ板を、二つの語で書く——ウジェーヌ・ブーダン
板に描かれた五点のうち、一点だけ素材の欄の語が違う。どちらも木の板を指すのに、同じ館の中で揃っていない。年をつなぐ記号も一点だけ違い、寸法の小数の桁も混じる。四か所の揺れを、九点の浜辺の絵から拾いたい。
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六点の来歴が、一行も違わない——ジョン・フレデリック・ケンセット
九点のうち六点の来歴が、まったく同じ一行である。同じ人から、同じ年に、まとめて館へ入った。制作から寄贈まで二年しかない。残る三点は、来歴の年と受入年が一年、あるいは二十五年ずれる。来歴の欄を並べて読みたい。
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二つの館が、別々に書く——ギュスターヴ・クールベ
同じ画家の九点を、二つの館の記録で並べる。年をつなぐ記号が違い、およそ、の略し方も違う。寸法はセンチが先か、インチが先か。額の寸法があるかどうかも分かれる。四か所の違いから、記録が館の産物であることを見る。
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画家が、自分で寄贈した一点——トマス・エイキンズ
九点のうち一点の来歴に、画家自身の名がある。描いた五年後に本人が館へ渡している。他の八点は、購入か他の人からの寄贈で、制作から受け入れまで最長で百十年掛かる。来歴の欄から、絵がたどった道の長さを測りたい。
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署名の位置が、記録してある——クロード・モネ
この館の記録には書き入れの欄があり、署名の位置と文字が書かれている。左下が五点、左上が二点、右下が二点。年が二桁のものと四桁のものがある。一点だけは押された印である。額の奥行きが一メートルを超える記録も見る。
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斜線と、または——カミーユ・コローの年の欄
二つの数字を斜線で結べば、そのあいだのどこか、という意味になる。「または」で結べば、二つのうち一方になる。見た目は似ていて、意味は逆である。九点のうち五点が斜線、一点が「または」。記号の読み分けから始めたい。
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年が、二つ書かれた一点——ウィンスロー・ホーマー
年の欄に「1895年、1901年までに描き直し」とある。描いた年と、手を入れた時期の両方が書かれている。何を直したかは書かれない。来歴の年と受入年が一年ずれる一点もある。油彩五点と水彩四点を、年の欄から読み直す。
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額の大きさまで、記録する——エドガー・ドガ
この館の記録は、作品の寸法に続けて額を含む寸法を書く。九点すべてに二行目がある。もっとも小数の桁は三通り、区切りの記号は二通り、奥行きの有無も分かれる。家族を描いた三点では、姓の書き方まで揺れている。
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絵の年と、紙の年が離れる——鈴木春信
版木が残れば、後の世でも刷れる。九点のうち二点は二十世紀の初め、二点は1865年ごろの刷りとされる。図は1770年前後だから、百三十年ほど離れる例もある。切り取られた絵本の頁とあわせ、紙の年という見方を試したい。
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収蔵番号の欄に、寸法が入る——東洲斎写楽
ある一点の収蔵番号の欄に、台紙の寸法が続けて書かれている。番号ではなく寸法が、欄をまたいで入り込んだ形である。単位の抜けた寸法、画面と断る寸法、読点のあとの空白の欠け。九枚の役者絵を、記録の揺れという一点から並べて読みたい。
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