COLUMNSコラム
-
美術史・技法
技法の欄が、土から石へ変わる——チェルシー・ケラミック・アート・ワークス
前半の六点には陶器、後半の三点には炻器と書かれる。材料が変わると、浮き彫りの飾りが消え、釉薬の色が見どころになる。十年ほどで入れ替わった作り方を、短い技法の一行から読みたい。一枚の写真に六本が写る例にも触れたい。
-
画家を知る
風景の画家が、人物を描く——カミーユ・コロー
銀灰色の風景で知られる画家の、人物画である。生前はほとんど人に見せなかったと伝えられる。同じ楽器、同じ頭の布が繰り返し出てくる。画室で組み立てられた場面の作り方を見たい。年の欄の書き方が四通りある点にも触れる。
-
画家を知る
額の寸法が、七点とも同じ——ウィンスロー・ホーマーの南の水彩
絵の寸法は一点ずつ違うのに、額の数字は七点で完全に一致する。九点は、北の海の画家が冬に南の島で描いた水彩である。嵐と椰子と壁、そして塗り残しの白を、記録の数字から辿りたい。技法の記述が一点だけ長い理由にも触れる。
-
画家を知る
身振りを、集めておく——フランシス・ウィリアム・エドモンズの写生帖
指さす腕、組んだ腕、握った拳、組んだ脚。一冊の帖から出た九枚には、人の身振りだけが集められている。家の中の場面を描く画家にとって、これは材料置き場だった。題が動詞で終わる理由を見たい。技法の欄に題が紛れ込む記録にも触れる。
-
画家を知る
同じ年、同じ姓、三つの大きさ——ジョン・シングルトン・コプリー
1771年に描かれた同じ姓の三人は、画面の大きさが三通りに分かれる。当時の肖像では、寸法が料金の等級だった。下絵と本画、対の二点、三メートルの群像まで、大きさから注文の形を見たい。額の厚みまで記録される点にも触れる。
-
画家を知る
紙の色が、変わってしまった——エドガー・ドガのパステル
技法の欄に、緑の紙、いまは褐色に暗くなっている、と書かれる。もとの色と、いまの色が両方記録されている。下地の色が変われば、置いた色との関係も変わる。見えなくなったものを記録から読みたい。紗に貼るという処置にも触れておきたい。
-
美術史・技法
手に、何かを持たせる——19世紀アメリカの作者不詳の肖像
作者の欄に人の名がなく、アメリカ、十九世紀とだけ入る。九点に共通するのは、手に何かが持たされていることである。人形、玩具の鶏、花籠、本、林檎、小鳥。持ち物が語ることを読みたい。題に留保が付く一点にも触れておきたい。
-
画家を知る
運河の前に、どこにいたか——アンドリュー・フィッシャー・バナー
ヴェネツィアの素描で知られる画家の、その前の五年である。ドイツの城、バイエルンの湖、ロング・アイランドの木。紙の余白には地名と頭文字と年が書き込まれ、記録の年を一年で確定させている。紙の色と種類の使い分けにも触れたい。
-
作品を知る
百枚のうち、六枚しかない——葛飾北斎の百人一首
百人の歌に絵を付ける計画は、三十枚に満たずに止まったと伝えられる。九点のうち六点がその組で、いずれも1839年である。歌をそのまま描かず、働く人の場面に置き換える作りを見たい。受入が二度に分かれている点にも触れる。
-
画家を知る
娘を、十六年ぶん描く——アリス・パイク・バーニー
九点の題には、ナタリーとローラという二つの名しか出てこない。いずれもこの画家の娘である。七歳の姿から、二十歳を過ぎた姿まで。題に年齢が入るので、並べれば年表になる。母が描いた十六年を追いたい。額ごと撮られた一点にも触れておきたい。
-
画家を知る
夫と妻を、対にして掛ける——ギルバート・スチュアート
九点のうち四点の題に、夫の名が括弧で添えられる。その夫の肖像は、同じ館に別の一点としてある。向きを反転させ、寸法をそろえ、壁の左右に並べる。数ミリの差が残る対の作り方を見たい。額の数字がそろわない理由にも触れたい。
-
画家を知る
題が、色の名から始まる——ジェームズ・マクニール・ホイッスラー
灰と銀、金と褐、黒の配置。九点のうち六点の題は、色の名から始まる。何を描いたかは、印のあとに小さく置かれる。題の色は画面で多い色とは限らない。題が見る順を決めるしくみを見たい。寸法の縦横が入れ替わる記録にも触れる。
-
作品を知る
虫と貝を、狂歌と一緒に摺る——喜多川歌麿の絵本
九点に人は一人も出てこない。出てくるのは蜂、蝶、蛍、蛇、蝸牛、そして貝である。一枚ずつ売る版画ではなく、狂歌の会が作った本の頁である。夜を暗く摺った見開きと、水の染みを見たい。版元の名が残る奥付の頁にも触れたい。
-
画家を知る
牛が、何度も出てくる——エドワード・ミッチェル・バニスター
草を食む牛、水に立つ牛、荷を引く牛。この画家の画面には、牛が繰り返し現れる。大きさは十八倍まで開き、年は二十六年に及ぶ。曇天と暗い森の中で、牛がどんな役をしているのかを見たい。題の半分が館の言葉であることにも触れる。
-
画家を知る
紙の色は、記録にしかない——ウィリアム・トロスト・リチャーズ
技法の欄には、薄い黄褐色の紙、灰緑色の紙と書かれている。ところが公開画像からは色を確かめられず、二点は白黒である。色の付いた紙に白い絵具を置く水彩の作りを、記録と画像の差から見たい。寄贈者の束と、受入年のずれにも触れたい。
-
画家を知る
同じ名を、二人が継ぐ——勝川春章の役者絵
九枚の題に、市川團十郎の四代目と五代目が並ぶ。うち二枚では同じ人が海老蔵と記され、館は括弧で注を入れる。名が動けば記録も動く。細判の紙に十一年ぶんの名跡の移り変わりが残っている。顔見世の十一月が三度出てくる点にも触れる。
-
画家を知る
山の画家の帖に、船が並ぶ——アルバート・ビアスタット
寸法の欄に数字が三つある。三つ目は厚みで、記録されているのは革表紙の帖そのものである。大きな山の絵で知られる人が、掌に載る帖に舟と旗と甲板の道具を写した。薄い鉛筆の線を追いたい。枝番が文字で振られている点にも触れたい。
-
画家を知る
他人の絵を、写して覚える——トマス・サリーの写生帖
一冊の帖から出た九枚は、どれも他人の絵の写しである。レンブラント、ダヴィッド、レノルズ。名は題に書かれ、疑問符が付くものもある。線だけの速い写しと、淡彩を重ねた写しが同じ帖に同居する。受入の年が一年ずれる記録の癖にも触れる。
-
画家を知る
同じ宿場が、三度出てくる——歌川広重の東海道
庄野が二枚、金谷が二枚、戸塚が二枚ある。同じ宿場を、判型を変えて何度も作り直している。さらに、同じ図の一枚が二つの館にあり、寸法の数字が縦横で入れ替わる。九枚の重なりから街道の商売を見たい。受入の番号からも、束の来歴が読める。
-
画家を知る
同じ大きさの紙に、二つの大陸が並ぶ——ジョージ・カトリン
九点の厚紙は、縦も横も数センチしか違わない。番号を振られ、束として作られた一群である。北米の平原と南米の森が、同じ寸法の紙に同じ手つきで並ぶ。楕円と長方形の使い分けから、この一覧の作り方を読みたい。番号の紙片も、台紙の色も手がかりになる。
28 / 47 ページ(全 940 件)



















