COLUMNSコラム: 画家を知る
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画家を知る
紙の色は、記録にしかない——ウィリアム・トロスト・リチャーズ
技法の欄には、薄い黄褐色の紙、灰緑色の紙と書かれている。ところが公開画像からは色を確かめられず、二点は白黒である。色の付いた紙に白い絵具を置く水彩の作りを、記録と画像の差から見たい。寄贈者の束と、受入年のずれにも触れたい。
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同じ名を、二人が継ぐ——勝川春章の役者絵
九枚の題に、市川團十郎の四代目と五代目が並ぶ。うち二枚では同じ人が海老蔵と記され、館は括弧で注を入れる。名が動けば記録も動く。細判の紙に十一年ぶんの名跡の移り変わりが残っている。顔見世の十一月が三度出てくる点にも触れる。
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山の画家の帖に、船が並ぶ——アルバート・ビアスタット
寸法の欄に数字が三つある。三つ目は厚みで、記録されているのは革表紙の帖そのものである。大きな山の絵で知られる人が、掌に載る帖に舟と旗と甲板の道具を写した。薄い鉛筆の線を追いたい。枝番が文字で振られている点にも触れたい。
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他人の絵を、写して覚える——トマス・サリーの写生帖
一冊の帖から出た九枚は、どれも他人の絵の写しである。レンブラント、ダヴィッド、レノルズ。名は題に書かれ、疑問符が付くものもある。線だけの速い写しと、淡彩を重ねた写しが同じ帖に同居する。受入の年が一年ずれる記録の癖にも触れる。
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同じ宿場が、三度出てくる——歌川広重の東海道
庄野が二枚、金谷が二枚、戸塚が二枚ある。同じ宿場を、判型を変えて何度も作り直している。さらに、同じ図の一枚が二つの館にあり、寸法の数字が縦横で入れ替わる。九枚の重なりから街道の商売を見たい。受入の番号からも、束の来歴が読める。
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同じ大きさの紙に、二つの大陸が並ぶ——ジョージ・カトリン
九点の厚紙は、縦も横も数センチしか違わない。番号を振られ、束として作られた一群である。北米の平原と南米の森が、同じ寸法の紙に同じ手つきで並ぶ。楕円と長方形の使い分けから、この一覧の作り方を読みたい。番号の紙片も、台紙の色も手がかりになる。
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題の括弧に、他の場所が入る——ダニエル・ハンティントン
写生帖の題が四つの部分に分かれ、括弧の中に別の地名が入る。八点は同じ年で、題の年と欄の年が一年ずれる。寸法は九点とも同じで、鉛筆の線が薄く残る。括弧の中を読みたい。一年のずれがどこから来るのかも、考えたい。
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名のある子と、ない子——ピエール=オーギュスト・ルノワール
九点のうち、描かれた子の名が題に残るのは二点だけである。残りは、少女、子ども、とだけ呼ばれる。判型は十三倍まで開き、画材は同じである。名が残るときと、消えるときの差を見たい。三つの手掛かりで、九点を分けたい。
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角括弧の中は、推測である——トマス・ヒューズ・ヒンクリー
六点の題で、地名が角括弧に入っている。館がそう推測した、という印である。疑問符が並ぶものもある。写生帖の頁は寸法がすべて同じで、外で描かれた跡が残る。記号の意味するところを読みたい。一冊の帖から、六点が出ている。
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題に、おそらく、と書く——レンブラント・ファン・レイン
三百年たつと、描かれた人の名は消えやすい。館は断定を避け、題に、おそらく、と書き添える。肖像では誰かが価値になるため、名の扱いが慎重になる。九点を三つの群に分けて、記録の言い回しを読みたい。三百年ぶんの空白を、記録は率直に書く。
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高さだけを、測る——ルイス・カムフォート・ティファニー
硝子の器の寸法欄に、高さしか書かれないことがある。記号の使い方は四通りに分かれ、直径のない記録もある。吹き硝子は、一点ずつ形が違う。情報が減っていく寸法の欄を読みたい。三つの方向を測る記録と、比べて読みたい。
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括弧の中に、説明が入る——鳥居清長
題が二つの層に分かれ、括弧の中に説明が置かれる。括弧は四つの働きを持ち、題の長さは二語から十語を超えるまで開く。版画の題は、後から付けられたものである。括弧の中身を読みたい。語の数を数えると、幅がよく分かる。
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一冊に、三つの土地——ジョン・ウィリアム・カシリア
一冊の写生帖の頁に、遠く離れた三つの土地が並ぶ。寸法も枝番も来歴も同じで、違うのは題の地名だけである。薄い鉛筆の線が、旅の順をそのまま残す。帖という単位から、九点を読み直したい。年の欄も、九点とも同じである。
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同じ庭が、同じ題で二点ある——カミーユ・ピサロ
同じ庭、同じ季節、同じ時刻を描いた二点が、同じ題で登録されている。題に時刻まで入るのに、二点は分かれない。館が違えば、書式も違う。何が題に書かれ、何が書かれないのかを見たい。九点は、同じ画材で描かれている。
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題に、階級が入る——モーリッツ・フュルスト
賞牌の題に、贈られた人の階級が書かれている。同じ姓の二人を分けるためらしい。七つの階級が並び、円という同じ形が九点続く。画像は片面だけで、裏の図は見えない。題に入った階級を読みたい。同じ材料で、同じ形が九点続く。
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題が、立ち姿を書く——勝川春英
六点の題に、立つ、という語が入っている。見れば分かることを、それでも記録は書く。役者絵の題は後から付けられ、場所と姿勢が並ぶ。細判という規格の紙に、顔が大きく置かれる。姿勢の語を読みたい。誰が題を付けたかは、書かれていない。
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同じ地方が、三通りに書かれる——ジョージ・エルバート・バー
題の地名で、同じ地方の名が三通りに書き分けられている。略す習慣が、そのまま記録に残った形である。小さな水彩は帖から外されたらしく、描き込みの粗さも四段階に分かれる。地名の書き方を読みたい。海の多い半島が、繰り返し出てくる。
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表紙の内側も、一点になる——J・Q・A・ウォード
写生帖の表紙の内側が、一つの作品として登録されている。紙ではなく、面が単位になっている。彫刻家の帖には、立体のための下絵が並ぶ。一冊を分けて記録するとき、何が起きるのかを見たい。九点とも、鉛筆で描かれている。
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題が、行き先を告げる——ジョン・ラ・ファージ
四点の題に、この紙が何のための習作かが書かれている。窓と壁画、どちらも建物から動かせないものである。画材も判型もばらばらで、用途によって変わる。行き先の書かれた題を読みたい。三つの群に分けて、順に見たい。
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地名のある題と、ない題——ポール・セザンヌ
九点のうち七点の題に地名が入り、二点には入らない。地名があると、後から場所を照らし合わせられる。館が違えば書式も違い、判型も広く開く。題の地名が何を可能にするのかを見たい。九点は同じ画材で、縦長は二点だけである。
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