COLUMNSコラム: 画家を知る

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    紙に、油彩で描く——アルバート・ビアスタット

    油彩といえばカンヴァス、という理解からは外れる。九点のうち四点は、紙に油彩と記録される。軽く、持ち運べて、その場で描ける。後から貼るという処置も加わる。支持体の側から九点を読みたい。大きさは、二つの群に分かれている。

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    面積が、千倍以上ひらく——トマス・サリー

    切手二枚ほどの細密画から、人の背丈を超える全身像まで。九点の面積は千倍以上ひらく。注文の形が三つに分かれ、下地も象牙とカンヴァスに割れる。四十年ぶんの仕事を、寸法の欄から読み直したい。白黒でしか見られない一点もある。

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    九点とも、寸法が一ミリも違わない——ジョージ・カトリン

    縦73.7センチ、横60.9センチ。九点の寸法の欄には、誤差なく同じ数字が並ぶ。既製の布を同じ寸法で切り、同じ木枠に張ったからである。題は三つの部分に分かれ、訳された名の綴りが揺れる。規格の側から九点を読みたい。

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    注文の肖像と、そうでない絵——ジョン・シンガー・サージェント

    九点は二つに分かれる。人の名が題になる大きな肖像が五点、地名や神話の名が題になる小さな絵が四点である。大きさ、筆の速さ、中心の有無。条件の差が画面をどう分けるのかを見たい。同じ家から続けて注文が来る点にも触れる。

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    厚紙に、描く——エドゥアール・ヴュイヤール

    九点のうち七点は、支持体が厚紙である。油を吸って艶が消え、画面は壁紙のように沈む。一点だけ絵具が膠で、縦二メートルの装飾になる。技法の欄が画面の表面を決めるさまを見たい。木の縁を含む寸法が記録される点にも触れる。

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    装いを、借りる——ジョシュア・レノルズの肖像

    古代の衣、羊飼いの杖、東方の装い。九点の人物は、日常の服を着ていない。肖像でありながら、物語の側へ寄せられている。顔だけは変えられないという条件のもとで、何が起きるのかを見たい。布が枠に折り返された一点にも触れたい。

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    浜の客と、浜で働く人——ウジェーヌ・ブーダン

    九点は、同じ浜を三十六年にわたって描いている。都市から来た客が八点、そこで働く女たちが一点。砂と海と空と人という四つの層を、配分だけ変えて組み替え続けた記録として読みたい。板の厚みまで記録された一点にも触れる。

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    同じ姓が、三度出てくる——トマス・エイキンズの肖像

    九点の題に、同じ家の三人が並ぶ。晩年のこの画家は、注文を待たず自分から頼んで座らせたと伝えられる。持ち物はなく、背景は暗く、誰も笑っていない。顔だけが残る肖像を見たい。同じ寸法の布を使い続けた点にも触れたい。

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    一枚では、収まらない——勝川春好の続絵

    技法の欄に、三枚続き、二枚続き、三枚続きの中央の一枚、と書かれる。紙を並べて一つの画面にする形である。背景の線が紙の切れ目を越えて続く。判型が場面の作り方を決めるさまを見たい。三枚続きの中央だけが残る例にも触れたい。

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    題に、写した版画の出どころが書いてある——パーヴェル・スヴィニン

    九点のうち六点の題には、括弧で出典が入る。ある雑誌の版画にもとづく写し、という書き方である。行かずに名所を帖へ入れる手続きが、そのまま記録に残った。見た絵と、見ていない絵を比べたい。公開画像の五点が白黒である点にも触れる。

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    風景の画家が、人物を描く——カミーユ・コロー

    銀灰色の風景で知られる画家の、人物画である。生前はほとんど人に見せなかったと伝えられる。同じ楽器、同じ頭の布が繰り返し出てくる。画室で組み立てられた場面の作り方を見たい。年の欄の書き方が四通りある点にも触れる。

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    額の寸法が、七点とも同じ——ウィンスロー・ホーマーの南の水彩

    絵の寸法は一点ずつ違うのに、額の数字は七点で完全に一致する。九点は、北の海の画家が冬に南の島で描いた水彩である。嵐と椰子と壁、そして塗り残しの白を、記録の数字から辿りたい。技法の記述が一点だけ長い理由にも触れる。

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    身振りを、集めておく——フランシス・ウィリアム・エドモンズの写生帖

    指さす腕、組んだ腕、握った拳、組んだ脚。一冊の帖から出た九枚には、人の身振りだけが集められている。家の中の場面を描く画家にとって、これは材料置き場だった。題が動詞で終わる理由を見たい。技法の欄に題が紛れ込む記録にも触れる。

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    同じ年、同じ姓、三つの大きさ——ジョン・シングルトン・コプリー

    1771年に描かれた同じ姓の三人は、画面の大きさが三通りに分かれる。当時の肖像では、寸法が料金の等級だった。下絵と本画、対の二点、三メートルの群像まで、大きさから注文の形を見たい。額の厚みまで記録される点にも触れる。

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    紙の色が、変わってしまった——エドガー・ドガのパステル

    技法の欄に、緑の紙、いまは褐色に暗くなっている、と書かれる。もとの色と、いまの色が両方記録されている。下地の色が変われば、置いた色との関係も変わる。見えなくなったものを記録から読みたい。紗に貼るという処置にも触れておきたい。

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    運河の前に、どこにいたか——アンドリュー・フィッシャー・バナー

    ヴェネツィアの素描で知られる画家の、その前の五年である。ドイツの城、バイエルンの湖、ロング・アイランドの木。紙の余白には地名と頭文字と年が書き込まれ、記録の年を一年で確定させている。紙の色と種類の使い分けにも触れたい。

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    娘を、十六年ぶん描く——アリス・パイク・バーニー

    九点の題には、ナタリーとローラという二つの名しか出てこない。いずれもこの画家の娘である。七歳の姿から、二十歳を過ぎた姿まで。題に年齢が入るので、並べれば年表になる。母が描いた十六年を追いたい。額ごと撮られた一点にも触れておきたい。

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    夫と妻を、対にして掛ける——ギルバート・スチュアート

    九点のうち四点の題に、夫の名が括弧で添えられる。その夫の肖像は、同じ館に別の一点としてある。向きを反転させ、寸法をそろえ、壁の左右に並べる。数ミリの差が残る対の作り方を見たい。額の数字がそろわない理由にも触れたい。

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    題が、色の名から始まる——ジェームズ・マクニール・ホイッスラー

    灰と銀、金と褐、黒の配置。九点のうち六点の題は、色の名から始まる。何を描いたかは、印のあとに小さく置かれる。題の色は画面で多い色とは限らない。題が見る順を決めるしくみを見たい。寸法の縦横が入れ替わる記録にも触れる。

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    牛が、何度も出てくる——エドワード・ミッチェル・バニスター

    草を食む牛、水に立つ牛、荷を引く牛。この画家の画面には、牛が繰り返し現れる。大きさは十八倍まで開き、年は二十六年に及ぶ。曇天と暗い森の中で、牛がどんな役をしているのかを見たい。題の半分が館の言葉であることにも触れる。

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