COLUMNSコラム: 画家を知る
-
画家を知る
夫の名で、記録される——ジェームズ・ピール
三点の題で、描かれた女性が夫の名で呼ばれている。本人の名は、括弧の中に置かれる。細密画は楕円の枠に収められ、象牙を薄く削った白い下地に描かれる。記録の書き方と、名の残り方を見たい。象牙という材料の扱いにも、触れておきたい。
-
画家を知る
題が、版画の一語だけになる——奥村政信
九点のうち一点は、題が版画の一語しかない。何を描いたかは、題から読めない。誰がいつ付けたかも書かれていない。残る八点の題は長さがばらばらで、五つの群に分かれる。短い題の意味を考えたい。版画の題は、後から付けられたものである。
-
画家を知る
題が、仕事の名になる——ウィリアム・P・チャペル
六点の題に、いまはない職業の名が入っている。人の名は残らず、仕事の名だけが残った形である。九点とも手のひらほどの小さな油彩で、古い街の路上が描かれる。題に残った職業の名を読みたい。九点とも、小さな板に描いた油彩である。
-
画家を知る
同じ題が、二点ある——チャールズ・ウィルソン・ピール
同じ人物を二度描いた二点が、同じ題で登録されている。片方は壁に掛ける大きさ、片方は掌に載る。面積の差は六十倍を超える。十八世紀の記録で、題が名として働かなくなる場面を見たい。大きい絵が三点、小さい絵が六点ある。
-
画家を知る
題が、連名になる——オーガスタス・セント=ゴーデンズ
四点の題に、二人の名が並ぶ。彫刻は一人では仕上がらないという事情が、そのまま題に出た形である。年の欄も二つに分かれ、材料は三通りある。数ミリの浮き彫りを、記録の書き方の側から読みたい。木の板に留めて、壁に掛ける形である。
-
画家を知る
同じ題が、同じ館に二点ある——ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ
同じ題、同じ年の二点が、同じ館に収まっている。違うのは寸法だけである。支持体も技法も二通りに分かれ、寓意という形が九点をつないでいる。題で区別できない作を、記録がどう扱うのかを見たい。二つの館に、九点が分かれている。
-
画家を知る
違いは、肘掛けだけである——ダンカン・ファイフの椅子
九点の椅子は、題が肘掛けの有無だけで分かれている。五点と四点、それ以外に区別する言葉がない。同じ工房の同じ形が並ぶとき、頼れるのは寸法と収蔵番号になる。家具の記録の作りを見たい。品目の名は、九点とも同じである。
-
画家を知る
題が、出どころを書く——アッシャー・ブラウン・デュランド
題に、何にもとづいて作ったかが書かれている。版刻の仕事では、元になった絵の作者が題に入る。二つの館で書式が分かれ、二つの形式が混じる。彫って、描いた画家の記録を、題の側から読みたい。四つの群に分けて、順に見たい。
-
画家を知る
同じ言葉が、二点を指す——アンリ・ファンタン=ラトゥール
自画像、という同じ題の作が二点あり、別の館に収まっている。題だけでは、どちらを指すか決められない。九点は人と花に分かれ、判型も広く開く。同じ言葉が二つを指すとき、記録は何で区別するのかを見たい。人と花で、六点と三点に分かれる。
-
画家を知る
地名が、二つの大陸にまたがる——ジョージ・イネス
題の地名をたどると、九点は二つの大陸に散る。何を描いたかより、どこで描いたかが先に書かれている。判型の幅は十倍近くあり、館ごとに書式も違う。地名という手掛かりから、長い仕事の幅を眺めたい。題に出る国は、三つある。
-
画家を知る
同じ島を、二度描く——イーストマン・ジョンソン
同じ島の同じ仕事を描いた二点が、別の題で登録されている。題は違うのに、中身はよく似ている。九点の支持体は六通りに分かれ、板と紙とカンヴァスが混じる。素材の欄から、島の絵の並びを読み直したい。題には、三つの街の名が並ぶ。
-
画家を知る
一つの題に、二つの訳がある——ポール・ゴーギャン
原語の題と、それを訳した題が、記録に並ぶ二点がある。訳すとき、何かが必ず足され、何かが落ちる。描かれた土地には人が暮らしており、描いたのは外から来た人である。題の訳と、そこから漏れるものを見たい。三つの館の書式も、揃わない。
-
画家を知る
同じ人の肖像が、二つの館に分かれる——エドゥアール・マネ
同じ人物を描いた二点が、別の館に収まっている。一方の題には描いた場所が入り、他方には生没年が括弧で付く。館ごとの作法が、そのまま題の形に出る。寸法の桁も、区切りの記号も揃わない。九点を並べて、書式の差を見たい。
-
画家を知る
題が、一語で足りている——ウィリアム・メリット・チェイス
九点のうち四点は、題が一語しかない。人の名が二点、種類の名が二点である。短いぶん、年や寸法や出所の欄が働く。寄贈の年と受け入れの年が三年ずれ、一つの寸法欄で単位の順が逆になる。一語の題の周りを読みたい。
-
画家を知る
題の括弧に、画家の名が入る——ジャスパー・フランシス・クロプシー
四点の素描の題に、画家の名を冠した束から来た、と括弧で書かれている。中身は作品の説明ではなく、出どころである。うち一点だけ、括弧の中の空きが二つある。残る五点は読点と横棒で地名を並べる。題の区切りから記録を読みたい。
-
画家を知る
六点の題が、四つの語しかない——チャールズ・カートリッジ・アンド・カンパニー
碗、皿、水差し。器の題は、種類の名で足りてしまう。同じ題が二点ずつ並び、区別は寸法と収蔵番号に移る。皿の二点は同じ写真で公開され、出所の行では世代を示す語が片方だけ落ちている。八年しか続かなかった会社の記録を読みたい。
-
画家を知る
同じ板を、二つの語で書く——ウジェーヌ・ブーダン
板に描かれた五点のうち、一点だけ素材の欄の語が違う。どちらも木の板を指すのに、同じ館の中で揃っていない。年をつなぐ記号も一点だけ違い、寸法の小数の桁も混じる。四か所の揺れを、九点の浜辺の絵から拾いたい。
-
画家を知る
六点の来歴が、一行も違わない——ジョン・フレデリック・ケンセット
九点のうち六点の来歴が、まったく同じ一行である。同じ人から、同じ年に、まとめて館へ入った。制作から寄贈まで二年しかない。残る三点は、来歴の年と受入年が一年、あるいは二十五年ずれる。来歴の欄を並べて読みたい。
-
画家を知る
二つの館が、別々に書く——ギュスターヴ・クールベ
同じ画家の九点を、二つの館の記録で並べる。年をつなぐ記号が違い、およそ、の略し方も違う。寸法はセンチが先か、インチが先か。額の寸法があるかどうかも分かれる。四か所の違いから、記録が館の産物であることを見る。
-
画家を知る
画家が、自分で寄贈した一点——トマス・エイキンズ
九点のうち一点の来歴に、画家自身の名がある。描いた五年後に本人が館へ渡している。他の八点は、購入か他の人からの寄贈で、制作から受け入れまで最長で百十年掛かる。来歴の欄から、絵がたどった道の長さを測りたい。
6 / 19 ページ(全 380 件)



















