COLUMNSコラム: 画家を知る
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同じ題が、五点並ぶ——ウィリアム・M・S・ドイル
六点のうち五点の題が、紳士の肖像である。名が伝わっているのは自画像の一点だけになる。題で呼べないなら、区別は収蔵番号に頼るほかない。額の内側という但し書きが前半の三点だけに付く点も含め、記録の姿を見る。
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同じ画家、二つの館の書き方——ヒュー・ブリッドポート
一方の館は寸法だけを書き、他方は形と測り方まで書き添える。同じ画家の同じ技法でも、記録の姿が違う。交換による購入という来歴、右下に残る署名らしき文字。六点の象牙の肖像から、記録が館の産物であることを見たい。
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寸法の欄に、重さが書いてある——チャールズ・フレーザー
絵画の記録に重さが入ることは、めったにない。この一点には336グラムとあり、しかも宝飾で使う単位が併記される。枠を金属として扱っているのだろう。十二センチを超える大きな象牙の肖像六点を、記録の書き方から読む。
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画像に、留めの紙片が写る——アンナ・クレイプール・ピール
枠を外して撮られた一点には、台紙に留めるための白い紙片が四か所写っている。館の記録は、その処置に触れない。十八世紀末に生まれ八十七年生きた女性画家の六点を、額の内側という寸法や、箱に収める形式とあわせて見たい。
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七センチを超える、細密画——ロバート・フィールド
象牙の肖像には三センチ台のものも多い。ところがこの画家の七点は、いずれも七センチを超える。うち一点だけが四角い木の額に入り、壁に掛ける形になる。大きさが扱いを変えるのだろう。署名らしき文字の写る一点もあわせて見る。
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池ごしに、街を見る——アーチボルド・ロバートソン
四十五センチの水彩に、十八世紀末の街並みが広がる。同じ画家の残る六点は、四センチ台の象牙である。面積では二百倍近い差になる。ミリで書かれた一点、遺贈の年と受入の年が一年ずれる一点。記録の揺れも含めて七点を見たい。
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同じ緑の幕が、二度出る——チャールズ・ピール・ポーク
夫と妻の肖像に、同じ緑の幕が下がる。画室に置かれた道具を使い回したのだろう。年は斜線で区切られ、八年の幅がある。同じ人物を二通りの大きさで描いた二枚もある。六枚の寸法と背景から、この画家の仕事の組み立てを読む。
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三センチと、百二十五センチ——ヘンリー・ベンブリッジ
同じ画家が、指先ほどの象牙と、壁に掛ける油彩の両方を引き受ける。面積では千二百倍を超える差である。寸法の縦横が入れ替わって見える一点、額の内側で測った一点。六点の記録から、大きさが用途と形式を決める様子を見る。
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五枚が、同じ大きさで並ぶ——ジョゼフ・ブラックバーン
縦126.7、126.7、127.6、127.6、127.2センチ。六枚のうち五枚が、九ミリの幅に収まる。規格に近い布を続けて使ったのだろう。作者の生没年は記録になく、活動の期間だけが残る。植民地の肖像画六枚を、寸法という一点から読み直したい。
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寄せ集めだと、題に書く——ヴォルフガング・グロースシェーデル
一領に見える甲冑の題は、寄せ集め、である。産地の欄には二つの町の名が並び、喉当てだけがイタリアと記される。館は隠さずに書く。組から外れた六つの部品とあわせ、記録が何を残し何を残さないかを見たい。左右で材の欄が食い違う例もある。
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八つの部品を、別々に量る——サミュエル・コルト
館の寸法欄に、記号のついた項目が八つ並ぶ。拳銃、弾倉、弾を鋳る型、火薬入れ、そして箱。それぞれの重さが小数第一位まで書かれている。これは武器である。それでも館は、甲冑と同じ部門で、装飾のある工芸品として記録する。九点の記録から、その扱いを見る。
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流れて、固まった釉薬——デダム・ポタリー
釉薬が溶けて流れ、途中で固まる。泡が残り、こぶになる。同じ窯で焼いても一点ずつ違う。前の記事で見た型押しの量産とは、正反対の考え方である。同じ寄贈で館へ入った九点を並べる。足元に残る土の跡が、立てて焼いたことを示している。
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北米で、磁器を焼く——タッカー磁器工場
陶器より高い温度が要り、白い土も要る。だから北米で磁器を作るのは難しかった。この工場の活動はおよそ十年で終わる。白い地に金を引いた九点から、短い挑戦の跡を見たい。鷲の絵が描かれた一点は、その時代の気分を伝えている。
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「梨または林檎」と、記録は書く——レオン・マルコット
館の技法欄に「または」が入る。木の種類を確定できない、という意味である。分からないものは分からないと書く。化粧板の薄い一枚をめぐる判別の難しさを、対で作られた戸棚など九点で追う。楕円の浮き彫りを誰が彫ったかも、記録は書いていない。
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木で、花の絵を描く——ハーター・ブラザーズ
色の違う木を薄く切り、はめ込んで模様を作る。寄木という技法である。館の記録には、布が張り替えられていることまで書かれる。十九世紀後半の高級家具九点を、材料と記録の両面から見る。刻まれた印が二度押されていることにも、意味がありそうである。
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籠の上に、動物が載る——マッキー兄弟社
蓋が動物、身が籠。九点とも同じ形式で、動物だけが違う。蓋と身を組み合わせて増やす設計である。館の題はどれも同じで、区別する語がない。不透明な白い硝子の九点から、量産の考え方を読む。白くするための工夫にも、材料の話がついてくる。
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粒の並ぶ皿を、真上から撮る——アダムズ社
九点のうち一点だけが、真上から撮られている。他は斜めからである。撮り方が違えば、読める情報も変わる。型で押した粒の模様を数えながら、記録写真そのものの条件にも目を向けたい。型で作るという前提が、模様の並び方を決めている。
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大理石に似せた、硝子——チャリナー・テイラー社
紫と白が渦を巻く。色硝子を混ぜきらずに型へ流すと、石のような模様が出る。量産の技法でありながら、一点ずつ模様が違う。安く石を真似るという十九世紀の工夫を、九点でたどる。石を真似た他の例と並べると、その狙いがはっきりする。
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灰青色の台紙の上で——アンソン・ディキンソン
八点は色のない記録写真で公開されている。寸法欄には「額の内側」とある。外さずに測り、色は分からないまま残る。それでも背景の階調から光の当て方は読める。制約の中で読めるものを数える。亡夫を記念しての寄贈という一行も、記録に残っている。
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写真が広まった時代の、細密画——ジョン・ヘンリー・ブラウン
写真術が公表されたのは一八三九年である。この画家の仕事は、その後に重なる。安く速い肖像が現れても、象牙に水彩で描く仕事は続いた。九点の記録から、需要が変わっていく時期の姿を見る。格子の襟巻きに置かれた色の点が、細密画の強みを示している。
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