COLUMNSコラム: 美術史・技法

  • 美術史・技法

    海の底に線を敷く——ロバート・チャールズ・ダドリーの大西洋横断ケーブル

    写真がすでにあった1866年、大西洋海底電信の事業は画家を船に乗せた。陸揚げ、接続、失われた線の探索、返信を待つ夜。六点の油彩は成功だけを描かない。事業の当事者が生涯の終わりに公共の館へ託した記録画を読む。

  • 美術史・技法

    漆は、絵の具である——小川破笠と柴田是真

    陶片や貝を漆の面に嵌め込んで絵を作る小川破笠と、漆そのものを筆に含ませて紙や屏風に描く柴田是真。塗料であるはずの漆を絵の具に変えた二人の九点から、乾かし、研ぎ、また塗る「時間のかかる絵の具」だけが持つ質感を読む。

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    アメリカは磁器を作れるか——タッカーとセンチュリー・ヴァース

    「白い金」と呼ばれた磁器の国産化に、19世紀のアメリカは二度挑んだ。フィラデルフィアのタッカー工場の12年と、建国百年博覧会に立ったセンチュリー・ヴァース。九点の器から、産業の面子と自己表現をめぐる百年の物語を読む。

  • 美術史・技法

    皿の上のアメリカ——スタッフォードシャーの転写皿

    独立戦争と1812年戦争で二度戦った相手国の英雄と名所を、イギリスの窯が皿にして売った。ナイアガラ、議事堂、そして英国が負けた海戦まで。藍色の転写皿九点から、外交より速く和解する商売の仕組みと、記録写真の価値を読む。

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    修道士の子、画家になる——リッピ父子

    父は修道士のまま画家になり、息子は父の弟子ボッティチェッリに学んだ。技は血ではなく、工房を経由して伝わる。ルネサンス・フィレンツェの継承の仕組みを、フィリッポとフィリッピーノ、リッピ父子の九点の見比べで確かめる。

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    同じ森、違う道——ロイスダールとホッベマ

    師の森は荒れ、翳り、倒木が横たわる。弟子の森は晴れ、道が通り、赤い屋根の水車が回る。同じ部品で組み立てたはずの風景が、なぜこうも違うのか。オランダ黄金時代の森の画家、ロイスダールとホッベマ師弟の九点を並べて確かめる。

  • 美術史・技法

    「倣う」は、創造である——文徴明・唐寅・董其昌の明代書画

    「倪瓚に倣う」と画家みずから題に掲げ、しかもその絵が名画として尊ばれる。模倣と独創の常識が逆転する明代の文人画の世界を、蘇州の文徴明・唐寅から松江の董其昌まで九点でたどる。鍵は、書の臨書と、紙に散る赤い鑑蔵印にある。

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    形の名前は、用途の名前——古代ギリシャの壺

    ヒュドリア、クラテル、キュリクス。呪文のようなカタカナの名前は、実はそのまま使い方の名前である。水汲み、宴会、化粧道具。シカゴ美術館の九つの壺の形と把手を読むだけで、二千五百年前の暮らしの一日が家の中まで見えてくる。

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    素人の理想を、専門家が演じる——池大雅・谷文晁・椿椿山の文人画

    墨一色の蘭、指で描いた山水、宴席の寄合書画、そして下絵と本画の対。中国の文人の理想を、日本の職業画家たちはどう引き受けたのか。池大雅・谷文晁・椿椿山の九幅で、三世代にわたる日本の文人画のねじれと魅力をたどる。

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    祭壇画は、なぜ切り離されたのか——シモーネ・マルティーニと金地の板

    金地に聖人が一人だけ描かれた小さな板絵。それはもともと、大きな祭壇画の部品だった。誰が、なぜ切り離したのか。寸法と銘記と来歴の記録を手がかりに、ニューヨークとワシントンに散った断片から、失われた祭壇の全体を推理する。

  • 美術史・技法

    五脚が、同じ寸法である——ダンカン・ファイフの工房

    五脚の椅子が、数ミリの差で揃っている。ダンカン・ファイフの工房は、手仕事で規格を実現していた。八点を寸法で並べ、揃いの椅子と大型家具の作りを読む。張り地と帰属の扱いにも触れておきたい。材の使い分けと分業の仕組みも確かめる。

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    型で押すか、手で吹くか——19世紀アメリカのガラス

    型に押し込んで作る器と、手で吹いて作る器。19世紀アメリカのガラス工場は、両方を使い分けていた。九点を技法で分け、色の工夫と代用品の設計を確かめる。会社名しか残らない記録にも触れておきたい。型の合わせ目という手がかりも示しておく。

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    窯に、委ねる——アメリカの美術陶器

    口をつぶした花瓶、素焼きのまま残した鉢、流れる釉。19世紀末アメリカの三つの窯は、工場と違うものを別々の方向で作った。九点を並べ、偶然を作品に含める方法を読む。日本の器の参照にも触れる。底の印が画像から読めない問題にも触れておきたい。

  • 美術史・技法

    記憶で描いた街——W・P・チャペルの小さな板紙

    縦15センチのスレート紙に、消えた街が描かれている。焼きとうもろこし売り、点灯夫、家上げ、幼児の葬列。九点を並べ、記憶で描いた絵が記録になりうるかを考える。読み方の手順もあわせて示したい。材料と寸法が揃っている意味も確かめる。

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    日付のある画帖——メアリー・N・サージェントの航海

    1904年、七十代後半の旅行者が地中海を巡り、画帖に98枚を残した。ガリポリ、エルサレム、ヴェスヴィオ。日付と地名の書き込みが、航路をそのまま伝える。九点で、記録が上手さで決まらないことを確かめる。公開画像が白黒であることの影響にも触れる。

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    作者不詳という記録——19世紀アメリカの絵

    作者欄に「アメリカ、19世紀」とだけ書かれた絵が111点ある。新聞の日付、布団地という支持体、暖炉の塞ぎ板。九点を並べ、名前がなくても読めることを確かめる。煙草屋の看板の表象にも触れておきたい。収集家の寄贈がこの分野を作った経緯も見ておく。

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    版画にするための大画面——トランブルの覚書

    縦10.8センチの覚書に、版画の値段と配り先が書かれている。トランブルの大画面は、版画の原型として働いた。八点で素描から複製までの流れを読む。名を記録された従者についても触れておきたい。小さな板に描かれた肖像の役割にも触れる。

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    顔を見たことのない人を描く——狩野派の歌仙絵

    狩野派の歌仙絵は、数百年前の歌人を同じ姿勢で描く。顔を知らない人物を描けるのは、粉本という型があったからである。色紙と掛軸と屏風の八点で、型と分業の仕組みを確かめる。未装のまま残った事情にも触れる。絹という材料の弱さにも触れておく。

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    色は、いつ版に移ったか——鳥居派の初期役者絵

    初期の役者絵では、色は紙の上に筆で置かれていた。それが漆の黒を経て、版で摺られるようになる。鳥居派の版画九点を年代順に並べ、色が工程の内側へ移る五十年をたどる。帰属の揺れにも触れておきたい。摺りの状態が色の見え方を変える点も見ておく。

  • 美術史・技法

    外交官が見たアメリカ——パーヴェル・スヴィニンの画帖

    ロシアの外交官スヴィニンは、1810年代のアメリカを画帖に記録した。乗り物、労働、宗教の場面。ただし雑誌の版画を写した一枚も混じっている。記録という言葉の中身を九点で確かめる。何が描かれていないかも、あわせて見ておきたい。

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