COLUMNSコラム: 美術史・技法

  • 美術史・技法

    同じ一行が、九つの番号に散る——ガービッシュ夫妻の寄贈

    九点の出所の行は一字も違わない。ところが番号の頭は1953年から1980年まで散らばる。二十七年にわたる繰り返しの寄贈である。変わらない一行と、動く四桁。二つを並べて、米国の素朴な絵が館に入るまでを読みたい。

  • 美術史・技法

    番号は三つ、写真は一枚——多翼祭壇画の枝番

    番号の末尾に、小文字のaがつく。三枚で一つの祭壇画を、館は板ごとに数える。ところが六点では、三つの番号が同じ一枚の写真を共有している。分けて数え、まとめて見せる。記録の単位と絵の単位のずれを読みたい。

  • 美術史・技法

    寸法の欄に、その他と書く——ジョージ・E・オーア

    ある一点の寸法の欄には、分類のつかない測り方だと明記されている。別の一点は、数字が一つしかない。胴が折り畳まれ、口がねじれた器では、高さも幅も決めにくい。測りにくさを記録から読みたい。技法の欄は、九点とも同じである。

  • 美術史・技法

    九点を分けるのは、直径だけ——アダムズ・アンド・カンパニー

    題も年も技法も同じ九点は、直径だけが三通りに分かれる。しかも画像は同じ角度、同じ光で撮られ、大きさの手掛かりが写っていない。寸法の数字がなければ、九点は同じ皿にしか見えない。三つの直径は、等しい間隔で並ぶ。

  • 美術史・技法

    五点の記録が、一字も違わない——チャリナー・テイラー社

    題も年も技法も寸法も同じ五点が並ぶ。記録の上では区別できない。ところが画像を並べると、渦を巻く模様は一枚ごとにまったく違う。書けるものと書けないものの境目を、九点から考えたい。型は同じで、模様だけが違う。

  • 美術史・技法

    九点とも、題が同じである——ユナイテッド・ステーツ・ポタリー

    題も作者も館も同じ九点を分けるのは、技法の欄と寸法だけである。パリアン磁器が五点、褐色の陶器が三点、炻器が一点。ところが技法の欄は、色も絵付けも書かない。材料と仕上げの分担を読みたい。寸法の書き方も、二通りある。

  • 美術史・技法

    題が、器に刷られた文字である——イーノック・ウッド・アンド・サンズ

    九点の題は、器に印刷された文字をそのまま写したものである。行が変わる位置には斜線が入り、製造元の名まで落とさない。文字のない二点は、角括弧で補われる。書き写すという方針を読みたい。縁の模様は、三種類に分かれる。

  • 美術史・技法

    年の欄が、四通りに書かれる——ニューイングランド・ガラス製造所

    二つの年をつなぐもの。ころ、を付けるもの。以降、とだけ書くもの。世紀で止まるもの。同じ会社の九点で、年の書き方が四通りに分かれる。百年の幅を二つの年で書いた記録もある。年の欄を読みたい。器の種類は、六通りに分かれる。

  • 美術史・技法

    寸法の欄に、寸法がない——ボストン・アンド・サンドウィッチ・ガラス

    九点のうち四点は、寸法の欄に数字がない。空欄ではなく、不明だと書かれている。年の書き方は六通りに分かれ、単位の前の空きまで揺れる。分からないと書くことの意味を、九点から考えたい。直径のある五点とも、比べたい。

  • 美術史・技法

    寸法の欄だけが、部品の名を書く——ヘンリー・K・ハンコックの家具金具

    題も年も材料も出所も、九点は同じである。区別できる欄は寸法だけで、そこにだけ部品の名が書かれる。杯、腕、座金、引き手の輪。しかも同じ写真が三点で共有される。失われた家具の形を読みたい。枝番は、飛び飛びに並んでいる。

  • 美術史・技法

    技法の欄が、二つとそろわない——19世紀アメリカの作者不詳

    窓の日除けに油彩。漆喰と木摺りに油彩。硝子の裏に描く。ビロード地に水彩。九点の技法の欄は、同じ書き方が二つとない。画材屋の外にある材料で描かれた九点を、支持体の側から読みたい。作者の欄には、世紀の名が入っている。

  • 美術史・技法

    絵が、家の一部だったころ——18世紀アメリカの作者不詳

    縦の三倍近い幅をもつ画面が三点ある。扉の上や暖炉の上に合わせて作られた形である。版画から起こした聖書の場面、渦巻きの枠を描いた壁の布、絹に描いた一枚。家具としての絵を見たい。寸法がそろう二点の関係にも触れておきたい。

  • 美術史・技法

    技法の欄が、土から石へ変わる——チェルシー・ケラミック・アート・ワークス

    前半の六点には陶器、後半の三点には炻器と書かれる。材料が変わると、浮き彫りの飾りが消え、釉薬の色が見どころになる。十年ほどで入れ替わった作り方を、短い技法の一行から読みたい。一枚の写真に六本が写る例にも触れたい。

  • 美術史・技法

    手に、何かを持たせる——19世紀アメリカの作者不詳の肖像

    作者の欄に人の名がなく、アメリカ、十九世紀とだけ入る。九点に共通するのは、手に何かが持たされていることである。人形、玩具の鶏、花籠、本、林檎、小鳥。持ち物が語ることを読みたい。題に留保が付く一点にも触れておきたい。

  • 美術史・技法

    作者の欄に、時代と地域だけ——十九世紀アメリカの無名の絵

    作者の欄に名が入らず、代わりに「十九世紀のアメリカ」とだけ書かれる。百年と一つの国という、きわめて広い括りである。九枚は主題も判型もばらばらで、共通するのは名がないことだけになる。名のない絵を、記録はどう扱うのかを見る。

  • 美術史・技法

    題に、日付まで書いてある——ジョージ・カトリンのラ・サール連作

    氷の上を渡ったのは1681年12月8日である、と題に書いてある。年でも月でもなく、日である。連作の九枚には、そうした日付や地名が並ぶ。誰の記録にもとづくのか、館は書かない。描かれた土地には人が暮らしていた。題の細かさと、そこから漏れるものを見たい。

  • 美術史・技法

    賞として、贈られる——十九世紀アメリカの賞牌

    会社に贈られた銀の賞牌が、二十二年後にその会社の名を持つ人から館へ渡る。同じ図でありながら題の違う二点、材の欄が金属とだけ書かれた一点。贈った側と受け取った側が題に並ぶ、金属に書かれた証書としてのメダル九点を見る。

  • 美術史・技法

    北米で、磁器をどう作るか——三社の答え

    鷲と盾を型で押した水差し、青と金の食器、そして釉薬をかけない白い浮き彫り。三つの工房が、それぞれ別の方法を選んでいる。画像に三枚の皿が写る記録、カップだけが題で受皿が入らない記録もある。九点を並べて読む。

  • 美術史・技法

    流すか、描くか——米国の美術陶器・三つの工房

    釉薬の流れに任せる工房、筆で花を描く工房、そして器に風景画を描く工房。同じ時代の北米に、三つの答えがあった。炻器と陶器という材の違いが、そのまま表現の違いになる。一人の収集家がまとめて館へ渡した九点で見る。

  • 美術史・技法

    手のひらに乗る、金属の絵——十九世紀アメリカのメダル彫刻師

    直径1.9センチから8.9センチまで、九点のメダルである。文字は逆さに彫られ、打ち出したときに正しくなる。贈られた本人が館へ寄贈した一枚もある。三人の作り手の記録から、半世紀の仕事を見る。三人のうち一人だけ、生没年の欄が空いている。

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