COLUMNSコラム: 美術史・技法
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美術史・技法
帯に書かれた言葉——吹き出しの祖先をたどる九点
細長い帯が画面の中でねじれ、その上に言葉が書かれている。絵は音を出せないので、話した内容を布に載せて見せた。写実が広まると、帯は画面から消えていく。中世から十九世紀まで、置き場所を変え続けた言葉を追いたい。
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美術史・技法
光輪に打ち込まれた祈り——サーノ・ディ・ピエトロほか九点
金の輪の縁に沿って、細かい文字が弧を描いている。九点のうち四点は、まったく同じ一句である。百五十年にわたって、同じ言葉が繰り返された。綴りの揺れまでそのまま写す館の欄から、職人の手つきを読みたい。金の上に打たれた一句を追いたい。
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美術史・技法
欄干に、彫ったように書く——ドッソ・ドッシ、ミレーほか九点
画面の下端に石の欄干を描き、その平らな面に文字を置く。石は硬く、刻まれた文字は動かない。その約束ごとが、そのまま絵の中へ持ち込まれている。文字のための平面をあらかじめ構図に組み込む工夫を読みたい。石の面という約束を読みたい。
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美術史・技法
画中の貼り紙に、署名する——カナレット、サーンレダムほか九点
端がわずかにめくれ、下に影が落ちている。本当に貼ってあるように見えるが、これは描かれた紙である。その上に名を書けば、署名は絵の外の行いではなく絵の中の出来事になる。三百三十年使われたこの工夫を読みたい。
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美術史・技法
何歳のとき、と絵に書き添える——ヴァン・ダイク《ウォートン卿》ほか八点の肖像
十九歳。二十歳。四十三歳。八十四歳。九点の肖像には、描かれた人のそのときの齢が書き込まれている。ラテン語、英語、オランダ語と言葉は違っても、書かれる中身は同じである。齢を絵に残すという習慣を読みたい。
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美術史・技法
年が、古い書き方の文字で記される——ラファエロ《ニッコリーニ・カウパーの聖母》ほか九点
1488年をこの書き方で記すと、十三文字にもなる。それでも、多くの作り手がこちらを選んだ。足すだけの形と引く形、点の打ち方、そして通し番号への転用。館が現代の数字に直さずそのまま写す理由を、九点の欄から読みたい。
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美術史・技法
描いた、作った、作っていた——署名に添えられる三つの動詞、ナショナル・ギャラリー(ワシントン)
名のあとに、一語だけが添えられる。描いた。作った。そして、作っていた。終わった行いと、まだ続いている行いとが、同じ画面の上に現れる。九点の銘記の欄をその一語で読み分けると、作り手の構えの違いが見えてくる。
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美術史・技法
頭文字を組み、そこから姓を続ける——ロートレックとホントホルストの署名
前半だけを組み合わせ文字にして、後半は普通に続けて書く。九点の署名は、一つの署名の中で書き方が途中で切り替わる。真似のしにくさと読みやすさを、両方とも取りにいった形である。二百七十年を渡って残ったその型を読みたい。
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美術史・技法
文字を組んで、名の代わりにする——フランス・ハルスとトマス・サリーの組み合わせ署名
二つか三つの頭文字を、線を共有させて一つの形にまとめる。今回選んだ九点の署名は、いずれもその組み合わせ文字である。読むにはまず元の文字へほどかなければならない。二百年にわたって使われ続けた、この小さな図形の仕組みを読みたい。
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美術史・技法
署名は、どの隅に置かれるか——レンブラントからモネまで九点、ナショナル・ギャラリー(ワシントン)
右上。中央左。左上。中央右。左下。右下。下の中央。九点の絵を並べると、署名の位置が七通りに分かれた。館の記録は、文字の内容を書く前に必ずその位置を書く。なぜ場所が先に来るのか。三百年ぶんの署名を、置かれた隅から読んでいきたい。
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美術史・技法
同じ図が、三つの硯箱にある——本阿弥光悦と尾形光琳の名で
柴を負う人の図が、三つの蓋の上に繰り返される。作者の欄には二つの名があり、いずれも年の欄と百年以上ずれている。名が様式の名になるとき、記録は何を抱えるのかを読みたい。一件に、四つの物が入る例も含まれる。
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美術史・技法
摺った人と、出版した人——コロー《イタリアの思い出》ほか
作者の欄に、斜線で区切られた名が並ぶ。描いた人、彫った人、摺った人、売り出した人。寸法は像と版と紙の三段で書かれる。摺る人の名がなぜ記録に残るのかを読みたい。一枚しか摺れない版画も含まれる。版の跡が、紙にはっきり残る。
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美術史・技法
皿を描いていない人が、作者の欄にいる——フランクリンの皿
四件の作者の欄には、元の肖像を描いた人の名が入る。その人は皿を描いていない。役割の欄を読み飛ばすと、二人で作ったように見えてしまう。欄の名と欄の役割を、一緒に読みたい。四件が、四つの原画から写されている。
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美術史・技法
同じ図案が、青銅と鉄で作られる——ラファイエット侯の記念章
作者も年も題も同じ二件が、技法の欄と寸法だけで分かれる。青銅と鉄、直径は4.8センチと4.4センチ。記念章は複製される品である。裏面が公開されない理由も含めて読みたい。九件が、同じ一つの寄贈から来ている。
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美術史・技法
技法の欄に、窯の名が括弧で入る——野々村仁清《水指》ほか
京焼。宜興窯。磁州窯。備前。材料と作り方を書いたあと、括弧で産地の名が入る。産地の名が、そのまま作り方の名でもあるからだ。作者の欄に工房の名が入る件もある。名の順序を読みたい。受入の年は、百二十年に散らばる。
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美術史・技法
作者の欄に、五十六人とある——伊賀上野の貼り混ぜ屏風ほか
名前ではなく、人数がそのまま作者の欄に入る。襖を屏風に仕立て直した件もあり、一双と一隻で数え方が変わる。出所の行は九つに分かれる。一つの屏風に何人が関わったかを読みたい。面の数が、件によって揃わない。
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美術史・技法
一つの巻に、二つの年——趙孟頫と趙麟《人馬図巻》ほか
1296年と1359年。九件の年の欄には、二つの年が並ぶ。祖父と孫が同じ紙に描き、表装が画面の五倍に及ぶ巻もある。十七メートルの巻物もある。二つの年を書き続ける記録を読みたい。七百年離れた二人が、並ぶ件もある。
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美術史・技法
書く人と、描く人——伊藤若冲《豌豆図》ほか
九件の作者の欄には、二人以上の名がある。役割の欄は画家と書家に分かれ、順序は点によって入れ替わる。寸法は画面、表装、軸先の三段で書かれる。二人の仕事をどう数えるかを読みたい。五人の名が、一つの掛軸に並ぶ件もある。
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美術史・技法
年の欄が、二つに割れる——刀身と拵
刀身は1440年、拵は十八世紀後半。九件の年の欄は、いずれも二つに分かれている。差が四百年を超える件もある。作者の欄が三人になる件もある。一本の刀を誰の作と呼ぶかを読みたい。拵の材料が、十種類に及ぶ件もある。
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美術史・技法
役割の欄に、七つの言葉がある——十七・十八世紀の銃
銃工、銃身を打つ人、機関を作る人、銃床を作る人、鋼を彫る人、製造所、そして売った人。九点の作者の欄には、名が二つから四つ並ぶ。同じ二人の順序が入れ替わる例もある。分業の記録を読みたい。口径と全長と銃身長が、並んで書かれる。
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