COLUMNSコラム: 作品を知る
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眠る人は、画面の中心にいる——トラヴェルシ・ホズマー・李公麟ほか九点
眠りを描いた九点を数えると、六点で眠る人が画面の中央に置かれていた。動かないものが構図を決めている。三点では誰かがその寝顔を見ており、二点では顔へ手が伸びていた。眠りは、しばしば何かの手前に置かれている。
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湯浴みの絵は、上がった後を描く——ドガ・クルーエ・春信ほか九点
湯浴みを描いた九点を数えると、湯に体を入れている人は二点しかいなかった。多くは上がった後で、扇を使い、鉢を見ている。湯も盥も画面の外にある。こちらを見る人は二点だけで、残る七点は見られていることを知らない。
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狩りの絵に、血は流れない——クラーナハ・カロ・陳居中ほか九点
狩りを描いた九点を数えると、獲物が倒れる場面は一点だけで、血の描かれた絵は一点もなかった。七点は追っている最中である。終わった後を描く絵はなく、追っているあいだにだけ、誰が先に射るかという順番が見えていた。
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乗る人は、いつも小さい——ドガ・グロ・カトリンほか九点
馬に乗る場面の九点を数えると、騎手の顔が判別できるのは四点だけだった。ドガの紙では馬の脚だけが描き直され、騎手の輪郭は薄いまま残る。人を描かない兜の一点が、いちばん確かに人の寸法を示していた。馬が主で、人が従である。
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鍛えるは、暗い中の一点になる——北斎・アーロム・ホイッスラーほか九点
熱した鉄は自分で光り、その光がまわりの顔を照らす。鍛冶の九点を数えると、火が見えるのは二点だけで、七点では火は画面の外にあった。前掛けと太い腕だけで鍛冶屋と分かる素描があり、鍛冶場が神話の場所にも土地の名にもなる。
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読む姿は、顔を伏せる——蹄斎北馬・ボウツ・ラ・ファージほか九点
面は手元にあるから、目は下を向く。読むの九点を数えると、五点で視線は下へ落ち、上を向いて読む姿は一度もなかった。文字が読める大きさで描かれるのは三点だけで、残りは白い面か裏を向いた面。読むことは面と目のあいだで閉じている。
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抱くと、輪郭が一つになる——デューラー・ムリーリョ・ドガほか九点
腕が体を囲むと、どこまでが抱く人か分かりにくくなる。抱くの九点を数えると、六点で対象は子、二点で鳥だった。古代の器では抱くことが人質を取ることであり、板の器具では動作の一部を道具が引き受けていた。同じ形が守ることにも奪うことにもなる。
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羽根は、頭へ行く——ホワイト・コーツ・デューラーほか九点
金属や石なら重くて載せられない場所に、羽根は載る。九点を数えると四点までが頭にあり、翼の羽根には遠征の名が書かれ、磁器の像では見たことのない土地のしるしになっていた。軽い材料が重い意味を負う記録である。
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石の名は、色を貸す——宋旭・広重・ピサロほか九点
翡翠という鳥の名も、水晶宮という建物の名も、石そのものではなく色や光の似方から来ている。玉と水晶の九点を数えると、手に取れる石は三点しかなく、四点では石の名が別のものを指していた。名は広まり、記録がそれを訂正する。
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螺鈿は、暗い面でしか光らない——国貞・ゲッツ・ゴンサレスほか九点
貝の内側を薄く剥がした層は、黒い木や金色の地に置かれてはじめて光る。螺鈿の九点を数えると、八点で地は暗いか金色で、材料の欄ではいつも三番目以降だった。もとは食べたあとの殻で、海女が採る場面を描いた版画が九点の始まりにある。
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角と骨は、名前になる——窪俊満・ルドン・カトリンほか九点
短くてどの言語にもある語は、姓にも呼び名にもなりやすい。角と骨の九点を数えると、実物は火薬入れの一点だけで、四点では材料の語が人を指していた。陶が角の形を写し、館の記録は象嵌を象牙か骨か決めていない。名前になった材料の記録である。
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象牙には、上限がある——レンクハルト・プライマー・キッドほか九点
一本の牙より大きなものは作れない。象牙の九点を数えると、十人以上の人物が幅16.5センチに詰め込まれ、残る三点では象牙は物ではなく、焼き物の素地と紙と鳥の嘴の色の名になっていた。材料の寸法が絵の構成まで決めている記録である。
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皮は、削って直せる——ド・ブレイルズ・クラーナハ・ブガッティほか九点
羊や子牛の皮を張って乾かした面は、紙と違って削って書き直せる。九点を数えると、紙が普及したあとも版画が刷られ、細密画が描かれ、二十世紀の丸椅子の座にまで張られていた。書くための面が、七百年かけて座る面になった記録である。
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羊毛と麻は、裏に回る——ウィルキー・グロ・ヴュイヤールほか九点
油絵の下の布は麻で、綴織の暗い部分は羊毛。九点を数えると、二つはたいてい表に出ず、綴織では明るい面を絹に譲っていた。麻の卓掛けは高価すぎて銀の受け皿で守られ、羊毛は騎士団の名と人の姓になる。草から布までの隔たりをめぐる記録である。
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大理石は、削るしかない——ロダン・パーマー・エーレトほか九点
粘土は足して直せ、青銅は型から何度でも出せる。大理石は削るだけで、削り残しがそのまま意匠になる。九点を数えると、原型から十七年後に彫られた像、題にあって材料の欄にない天板、光だけを通す透かし格子があった。一方向の作業をめぐる記録である。
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ガラスは、透けないことが多い——タルボット・ボスハールト・ボスほか九点
古いガラスは青い石の代用で、鏡は裏に金属を貼って透けなくしたもの。ガラスの九点を数えると、向こうを見せていたのは半分に満たなかった。絵や写真は透明そのものではなく、縁の光と輪郭の重なりという、透明であるしるしのほうを描いている。
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七宝は、褪せない——ル・バスティエ・清風与平・カトリンほか九点
硝子の粉を火で溶かして作る色は、光にも空気にも強い。七宝の九点を数えると、瑪瑙に似せた嗅ぎ煙草入れ、褪せない写真、絵の仕上がりのたとえ、草原の花を指す動詞まで幅があった。石を真似る技法であり、絵に真似られる面でもある。火で固めた色の記録である。
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釉は、覆いながら見せる——尾形光琳・カリエール・パプティほか九点
焼き物の釉も、絵に薄く重ねる透明な層も、下を見せながら覆う。釉の九点を数えると、七点までは隠さずに透かし、錫を混ぜた一点だけが土を消していた。四百年あとに加えられた赤い市松も、題にあって材料の欄にない布の艶出しもある。覆う層をめぐる記録である。
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漆は、刷れない——神坂雪佳・勝川春章・歌麿ほか九点
漆の見どころは艶と層の深さだが、版画は艶を刷れない。漆にまつわる九点を数えると、実際に塗られているのは二点だけで、あとは平らな黒として描かれ、技法の名になり、模倣の源泉になり、巻物を納めていた箱として記録にだけ残っていた。見えない層をめぐる記録である。
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白は、金属から来る——ガルビエーリ・デ・メナ・ターナーほか九点
鉛から鉛白、錫から白い釉、そして銀はそのまま白い。白い材料をめぐる九点を数えると、六点までは白が金属につながり、そのうち二点は空気の中で黒く変わっていた。館の記録は変色したことまで材料の欄に書き込んでいる。明るいはずの場所から先に暗くなる記録である。
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