COLUMNSコラム
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美術史・技法
道具は、人の代わりに仕事を示す——オスターデ・シャルダン・ベラスケスほか九点
仕事場は道具の置かれた部屋である。九点で数えると、人が描かれているのは五点で、残る四点には道具しかない。それでも台所や工房だと分かる。工房の光は外から、台所の光は炉から来ていた。座る人が三点、立つ人が二点である。仕事の種類が姿勢を決めていた。
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美術史・技法
囲いが見える庭は、四点だけ——アルトドルファー・華嵒・モネほか九点
庭とは囲われた土地である。だが九点で数えると、塀や柵が描かれているのは四点しかない。庭であることを示しているのは題のほうだった。楽園、祈りの園、農家の庭、そして地名としての庭まで混じる。手入れの跡が見えるのは三点だけだった。
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美術史・技法
柱の五点は、何も支えていない——デューラー・ロベール・北斎ほか九点
柱は重さを受けて地面へ流す部材である。ところが九点で数えると、上の重さを支えているのは四点しかない。人を縛る柱、頭だけを載せた柱、器の名になった柱、柱に掛けるための版画まで並ぶ。支えない柱ほど、飾りが細かくなっていた。九点のうち六点は石ではない。
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作品を知る
段は、六から二十のあいだに収まる——リュノワール・プッサン・ブロンデルほか九点
階段は高さの違う床を並べたものである。九点で数えると、段が数えられるのは六点で、いずれも六段から二十段のあいだだった。多すぎれば潰れ、少なすぎれば階段に見えない。梯子と、階段のない素描も混じる。段の高さがそろうと、人の歩幅も決まる。
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美術史・技法
屋根は、遠くから見た家である——レンブラント・呉鎮・北斎の周辺ほか九点
屋根は離れていても見える部分だから、風景では家の代わりを務める。九点で数えると、屋根が描かれるのは六点、うち四点が草葺きだった。屋根の上から撮った写真、屋根板の置き場、店の名まで混じる。屋根の形は、その土地の雨の量を映している。
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美術史・技法
等間隔の柱が、時間を刻む——グラネ・ピラネージ・ロベールほか九点の回廊
回廊は歩くために細長く作られた場所である。九点で数えると、内から描くのが四点、外から見るのが五点。柱やアーチが等間隔に並ぶのは八点で、崩れているのは牢獄の版画だけだった。繰り返しが距離を測らせる。歩く速さまで、柱の間隔が決めていた。
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作品を知る
壁は、絵と同じ形をしている——デューラー・アルトドルファー・トライプほか九点
壁は人物の後ろで黙って立つ面である。九点で数えると、人の後ろに壁があるのは五点、そのうち三点で壁はくぼんでいた。壁に掛けるもの、壁を覆うもの、壁の名を持つ通りまで混じる。最大と最小で四千倍の差が出た。
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作品を知る
扉の板が写るのは、二点だけ——デューラー・春信・トライプほか九点の戸口
戸口には通す働きと止める働きがある。九点で数えると、人が通れる開口があるのは六点、扉の板が写るのは二点しかない。書物の扉、家具の引き戸、扉のない扉飾りまで、同じ字が四つのものを指していた。閉じた扉の向こうは、誰にも見えない。
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作品を知る
窓の外は、三点しか見えない——ルグロ・レンブラント・モリゾほか九点
窓は外を見せるための穴だと思われている。だが九点で数えると、外の景色が見えるのは三点だけだった。窓辺に人がいるのは六点、そのうち外を見ているのは二点。窓は枠として働き、画面のなかにもう一つの四角を作る。
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作品を知る
部屋は、光の落ち方で決まる——デューラー・北斎・グウェン・ジョンほか九点
部屋を描くとは、四つの面のうち一つを外して覗くことである。九点で数えると、天井が入るのは五点、床は七点、開口はわずか三点しかない。囲いを示すのは壁ではなく、明るい面と暗い面の分かれ方だった。家具の内部まで混じる。
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名画の楽しみ方
人を描かないという選択——バニスター・ルノワール・ミグノンほか九点
三十回にわたって画面のなかの人を見てきた。最後は、その逆である。九点とも人がいない。だが六点には、人の置いた器や布や貼り紙がある。三十回で数えたことも、あわせて振り返りたい。見えているのは作品の一部だけ、という例も四点あった。その限界も書いておきたい。
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作品を知る
鏡が入ると、顔が二つになる——ヴィジェ=ルブラン・ドガ・北斎ほか九点
鏡のある絵では、見ている顔と映った顔が別の向きを取る。九点で、鏡の扱いを数えたい。ただし映す鏡は三点だけで、残りは眼鏡、鏡餅、そして書物の題だった。語が六つの意味に広がっている。映った顔だけがこちらを見て、実物は目を伏せている。
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作品を知る
子どもらしい体の比は、半分に満たない——カラッチ・ルーティ・ドゥカンほか九点
子どもは大人と体の比が違う。だが絵では、その比が守られないことが多い。九点で数えると、子どもらしい比は三点だけだった。青い上着の少年が二点ある。そして年齢は、どの記録にも書かれていない。犬と組み合わせて描かれる例が二点。大きさが近いので、手が自然に届く。
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美術史・技法
祈る姿勢は、体を低くする——祈祷用の木彫玉・ブリオスコ・ダヤールほか九点
祈りは心の中で起きる。外から見えるのは姿勢と道具だけである。九点で、その示し方を数えたい。跪く四点、手を合わせる三点。五センチの木彫玉には、群衆が彫り込まれていた。祈る相手は、人の形とはかぎらない。日、鏡、祠へ向かう例もあった。
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美術史・技法
踊っていない踊り子——ルノワール・カウフマン・ドガほか九点
踊りは動きだが、絵は動かない。九点で、どの瞬間が選ばれたかを数えたい。踊っている姿は五点で、残りは立っているだけか、道具か、舞台である。足の位置と腕の非対称が、動きを決めている。踊りの語で拾った外れとして、舞台装置の図も一点混じっている。
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美術史・技法
絵は音を持たない——ファン・デル・ヘルスト・丁雲鵬・文伯仁ほか九点
鳴っていない音を、見えるものだけで示す。九点で、その方法を五つに分けたい。楽器、姿勢、聞く人、楽譜、そして題である。同じ詩を主題にした二点が、掛軸と巻子で並ぶ。楽譜が読める一点もあるが、曲はまだ特定されていない。音は記録の外にある。
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美術史・技法
手紙の絵には、書いた人がいない——ホーファー・フラゴナール・光琳ほか九点
読む人だけが描かれ、差出人は画面の外にいる。だから、内容は読む顔からしか読めない。九点で、視線の高さを数えたい。紙を見る、上を向く、目を閉じる。その三つが時間の前後を示す。手紙は、画面でいちばん明るい面になることが多い。五点でそうなっていた。
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美術史・技法
書く人と、書かれた物と、書く道具——仇英・杜堇・尾形光琳ほか九点
記録の中の書くの語で九点を集めた。書く姿が主題なのは三点で、東アジアの絵に偏る。残りは写本の一葉と、硯箱や文具台である。九点で、書く姿勢と道具の形を並べたい。東アジアの四点では書く人が描かれ、ヨーロッパの五点では一人も描かれていなかった。
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美術史・技法
重さは、傾きに出る——バリー・デューラー・ジロドンほか九点
軽いものなら体はまっすぐでいられる。重ければ傾き、膝が沈む。九点で、荷物の位置と体の傾きを測りたい。背中、肩、天秤棒、頭、手。天秤棒の一点だけ、体が傾いていなかった。運ぶ人の顔は、九点のうち八点で下を向くか、見えなかった。
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美術史・技法
道具が、その人の仕事を示す——トムソン・コルヴィッツ・ホイッスラーほか九点
働く絵では、顔ではなく手に持ったものが職業を決める。九点で、道具と姿勢を数えたい。前かがみが六点。そして目が合うのは一点だけだった。見られていると分かれば、手が止まるからである。働く姿勢は六点が前かがみだった。対象の高さが、体の折れ方を決めている。
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