COLUMNSコラム
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名画の楽しみ方
隅の一匹から、題だけの一匹まで——ファン・ケッセル・歌麿・ウェストほか九点
虫は、絵のなかで最も小さい生き物である。隅にいることが多い。だが、虫だけを主題にした絵もある。九点で、その扱いの幅を読みたい。題に虫があるのに、画面に見えない一点もある。九点のうち六点に、蝶が現れる。
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作品を知る
鳥は、枝と空と面のどれかにいる——椿椿山・広重・ウテワールほか九点
鳥は小さく、そして飛ぶ。だから、枝の上、空のなか、地面の上、装飾の面という四つの居場所を持つ。九点で、その位置と数を読みたい。鳥のいない三点も、理由があって混じっている。翼を広げた姿が、装飾では最も多く選ばれる。
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作品を知る
馬は、横から見なければ馬に見えない——ドガ・メソニエ・北斎ほか九点
馬は、たいてい真横か斜め横を向く。正面からでは、胴の長さも脚の運びも読めないからである。九点で、その偏りを確かめたい。正面から作られた馬の防具も、二点ある。馬の毛色は、七点のうち五点が茶色である。正面を向いた馬は一点しかない。
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作品を知る
犬は、画面のいちばん下にいる——ティントレット・春信・是真ほか九点
絵のなかの犬は、人の足もと、階段の下、地面の上にいる。上を歩く犬はいない。九点で、その高さを測りたい。館の記録は、犬について一言も書いていない場合が多い。犬の色は、九点のうち三点が黒である。名前に犬の語が入る一点も混じる。
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名画の楽しみ方
丸い胴に、絵をどう置くか——永樂保全・ティファニーほか九点の器
曲面に絵を置くと、正面から全部は見えない。だから、一周させるか、区画を作るか、散らすか。九点で、五つの解き方を並べたい。絵を置かないという答えも、そのなかにある。把手の数が、正面の位置を決めている。九点のうち六点には、正面がない。
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美術史・技法
背もたれの百年——ダンカン・ファイフ、ベルター、ハーター・ブラザーズほか九点
一七九四年から一八七八年まで、米国の脇椅子八点を並べる。高さは八三センチから九八センチのあいだで上下する。九点で、背もたれの形と車の有無を読みたい。椅子に座った男の肖像も、そこに加える。揃いで作られた組の、一脚だけが館にある。
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作品を知る
静物には、必ず台がある——マネ・スネイデルス・コールテほか九点
卓、棚、石の縁。物が載る面が、視点と奥行きを決める。台は背景ではなく、構造である。九点で、その材料と高さを読みたい。台を持たない静物も、一点だけ混じっている。縁から物をはみ出させる技法も、あわせて読みたい。
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作品を知る
木から皿まで、実の三つの段階——歌麿・カトリン・ファンタン=ラトゥールほか九点
実は、木になり、摘まれ、盛られる。絵に描かれるのは、たいてい途中か終わりである。九点で、その道筋を追いたい。齧られた跡のある実は、九点のうち一点にしかない。九点のうち五点に葡萄が出るのも、理由がある。
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作品を知る
四百年、同じ構図が続く——ルノワール・セザンヌ・ルドンほか九点の花瓶画
器があり、花が広がり、背景が暗い。この形は、十七世紀から二十世紀まで動いていない。変わったのは、地の色と器の材料である。九点で、その変化を追いたい。花のない一点も混じっている。落ちた花びらが、人の手の跡を残している。
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作品を知る
花は、置かれる場所が決まっている——器・縁・隙間・頭の上ほか九点
花は、絵のなかでほとんど主役にならない。器の腹、皿の縁、布の端、頭の上。置かれる場所が決まっている。九点で、その六つの位置を数えたい。題に花の語が入るのは、二点だけである。描かれた花の数と色も、あわせて数えたい。
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美術史・技法
開けば面、閉じれば棒——レンブラント・写楽・清長ほか九点の扇
扇は、二つの形を持つ。開けば広い面になり、閉じれば細い棒になる。だから、場面によって働きが変わる。九点で、扇の使われ方を分けたい。扇形の画面に描かれた絵も、そのなかにある。扇を持つのが誰かも、九点で数えておきたい。
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美術史・技法
開いた本と、閉じた本——欧米の肖像・細密画・版画ほか九点
開いた本は、読まれている。閉じた本は、持たれているだけである。そして、閉じた本は、その人が誰かを示す。九点で、本の状態を数えたい。本そのものを主題にした品も含まれる。本の大きさが、その人の仕事を示す場合もある。
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美術史・技法
剣は、帯びるものと抜くもので変わる——武具・肖像・版画ほか九点
腰にあるとき、剣は身分の印である。手にあるとき、剣は武器になる。九点で、その切り替わりを読みたい。刀装具の意匠には、剣そのものが描かれることが少ない。帯びる位置と、鞘の角度もあわせて読みたい。剣を持つのは、ほとんど男である。
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美術史・技法
かぶった帽子と、手に持った帽子——欧米の肖像・版画ほか九点
帽子をかぶれば、頭の形が変わる。手に持てば、それは持ち物になる。同じ品でも、位置で働きが変わる。九点で、帽子の扱いを分けたい。脱いだ帽子は、しばしば敬意を示す。帽子の形が、身分や職を示す例も並べたい。
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美術史・技法
布は、動きを描くための道具である——欧米絵画・版画・彫刻ほか九点
人の体は、そう大きく動かない。動くのは布である。風で膨らみ、走れば後ろへ流れる。九点で、布の襞の作り方を読みたい。止まっている人物の布にも、襞は要る。垂れた布と、翻る布では、線の数が違う。九点で、その差を測りたい。
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作品を知る
戸口が、人を切り抜く——欧米絵画・版画・素描ほか九点
戸口は、四角い枠である。そこに人が立つと、額に入ったように見える。そして、向こう側の空間が見える。九点で、戸口の使われ方を読みたい。開いた戸と閉じた戸では、意味が変わる。戸口の奥をどこまで描くかも、九点で分かれる。
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作品を知る
窓は、絵のなかの絵である——欧米の室内画・版画ほか九点
窓を描くと、その四角のなかに別の景色が入る。室内の暗さと、外の明るさが同居する。九点で、窓の形と位置を読みたい。窓の外を描かず、白く飛ばす方法もある。窓の桟が、外の景色を分割する働きも持つ。九点で、その形を数えたい。
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作品を知る
影は、どちらへ伸びているか——欧米絵画・版画・素描ほか九点
影の向きは、光の向きの裏返しである。だから、影を見れば、太陽の位置が分かる。九点で、影の長さと方向を測りたい。影をまったく描かない絵も、そのなかに混じる。影の色を何色で塗るかも、九点で分かれている。黒で塗る例は少ない。
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作品を知る
画面のなかに、光源を置く——蝋燭・ランプ・提灯ほか九点
光の出どころを画面に描くと、影の向きが決まる。そして、光源に近いものが最も明るくなる。九点で、その並び方を読みたい。光源を隠して、明るさだけを見せる絵もある。光源の数が二つになると、影が重なりはじめる。
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作品を知る
夕方は、空の色だけで示す——欧米の風景画・版画ほか九点
夕方を描くとき、時計は描けない。空の色を変えるしかない。橙、赤、紫、そして灰。九点で、夕暮れの色の幅を並べたい。地上を暗くすると、空の明るさが際立つ。同じ橙でも、朝と夕で使い方が変わる。九点で、その差も確かめたい。
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