COLUMNSコラム

  • 作品を知る

    敬意を表して、という句——クロフォードの中国絵画、1981年と1988年

    思い出に、は亡くなった人に使う。敬意を表して、は生きている人に使う。同じ年、同じ二人の名が、寄贈と購入の二つの行に別々の役割で現れる。画面が一メートル、巻物が八メートルという記録も読みたい。画面を埋める赤い鑑蔵印が何を語るかも読みたい。

  • 美術史・技法

    一行に、同じ名前が四度出てくる——スミス・コレクション、1914年

    コレクションの名として、夫人として、ジュニアとして、そして思い出に捧げられる名として。同じ姓名が四度現れる。生前の寄贈者から、記念される人へ、さらに基金の名へ。三十五年で一つの名前が通った道筋を読みたい。

  • 美術史・技法

    同じ年に、二通りの行がある——マンスフィールド・コレクション、1936年

    購入が七十四点、寄贈が二十七点。同じ年に、同じ人の集めたものが買われもし、贈られもした。掛軸四十一点、版画二十五点、刀の鍔八点。一つの名前が三つの番号体系にまたがる索引になっている。墨だけの絵に階調表を添えて撮る、記録用の撮影についても書きたい。

  • 作品を知る

    同じ名前が、二通りに現れる——ラスロップの寄贈と、その死後の購入

    一九〇八年は「による寄贈」。一九一一年は「コレクション、購入、基金」。三年のあいだに、行の書き方が変わっている。生きているあいだは贈り、亡くなったあとは買われた。台紙に貼った広重の絵から読みたい。古い記録写真に写り込んだ館の札にも触れたい。

  • 作品を知る

    出所の行が、主題を書いている——アーノルドのニューヨーク図画500点超、1954年

    コレクションの名の中に、何を集めたかが入っている。版画と地図と図画。同じ湾を三度描いた水彩、通りを埋める群衆、日付と時刻まで題に入った油彩。六十年で都市がどう変わったかを、九点で読みたい。紙の種類の書き分けが、年代の手がかりになっている。

  • 美術史・技法

    番号の年と、行の年が違う——リッグズとバシュフォード・ディーンの武具

    寄贈の年と登録の年が一年ずれている。千点を超える受け入れだからである。柄と刀身で国が違う剣、十九世紀の修復が明記された馬の防具、四つの出所を持つ一領の甲冑。一つの部門を作った二人の名を読みたい。記念コレクションという仕組みについても書いておきたい。

  • 作品を知る

    寸法の欄が、全部同じである——ヤーネ兄弟の小柄700点規模、1943年

    長さ九・七センチ、幅一・四センチ。鞘の溝が決めた規格である。作り手が変えられるのは厚さと装飾と材料だけ。赤銅、四分一、宣徳。金属の色を絵具のように使い分けた二百年を、九枚の板から読みたい。厚さと重さだけが一点ずつ違っていることにも触れたい。

  • 美術史・技法

    同じ型から、二つ出てくる——マイルズ夫人のプレスガラス800点超、1946年

    鴨が二つ、梟が二つ。型が同じでも、流し込む色が違えば別のものになる。材料の欄が色の名を書くのは、ガラスにとって色が材料そのものだからである。白黒の画像では読めない記録について書きたい。同じ器が色付きと白黒の両方で残っている例もある。

  • 作品を知る

    出所の行が、四語しかない——エリソンのアメリカ美術陶器、2018年

    作られてから百年ほどしかたっていない。持ち主も一人か二人。だから行が短い。艶のない緑、崩された口、素地のままの橙、還元でしか出ない赤。記録は三語で片づけるが、見えているものははるかに多い。作者の欄が会社名になる作品と、個人名になる作品の差も読みたい。

  • 美術史・技法

    器に、もう一つの出所の行がある——クリアウォーターの銀器遺贈、1933年

    館の帳簿は一九三三年を指す。ところが器の縁には、十八世紀に誰が教会へ贈ったかが彫られている。一つのものに、二つの出所が記録されている。彫りがあるものだけが溶かされずに残った理由も読みたい。急須が二十四点を占める理由も、あわせて考えたい。

  • 作品を知る

    象牙の上の七センチ——グロリア・マニーの細密肖像300点超、2006年

    縦横の比がほぼ一定で、大きさも七センチ前後に集まる。持ち歩くものだからである。裏に髪を納める部分を持つものもある。方眼紙の上で撮られた一点には、絵具の欠けが写る。一分野を覆う寄贈を読みたい。象牙という材料のいまの扱いにも触れておきたい。

  • 作品を知る

    同じ顔が、九十一回出てくる——ハンティントンの寄贈、1883年

    ガラス、磁器、青銅、銅、金鍍金、ファイアンス。材料も形もばらばらなのに、描かれている人物は数人しかいない。集めた軸が「誰の顔か」だと、館の分類はきれいに横切られる。四百点規模の偏りを読みたい。七十点に横顔の分類が付いている理由も考えたい。

  • 名画の楽しみ方

    多数の寄贈者、という書き方——「交換によって」が畳み込んでいるもの

    人数も名前も書かれない句がある。そして、その隣にしばしば「交換によって」が付く。館が手放した作品の代金で、別の一点が買われた。買われた側の行に、売られた側の寄贈者が残る。その構造を読みたい。短い句の裏に、除籍という長い経緯がある。

  • 美術史・技法

    出所の行に、もう一人いる——「〜の思い出に」を含む330件の書き方

    彫刻家という職業と生没年。姉という続柄と敬称。母、夫、博士、夫人。書き添えられる情報は寄贈のたびに違う。亡くなった人と生きている人が同じ一行に並ぶ例もある。追悼が記録の欄になる仕組みを読みたい。銀器の重さの欄が何を意味するかにも触れたい。

  • 名画の楽しみ方

    一行に、金の出どころが七つある——パッカード・コレクション、1975年

    コレクションの名、本人からの寄贈、四つの基金、一つの遺贈、会社の寄贈。一件の受け入れを支えるために、七つの財布が並んでいる。百七十七点をまとめて動かすには、それだけの手当てが要った。長い一行の読み方を示したい。

  • 美術史・技法

    新聞で作った財産が、版画になる——ピュリツァー遺贈による1918年の購入

    購入、ジョーゼフ・ピュリツァー遺贈、一九一八年。この一行を持つ日本の版画が二百十一点ある。番号は二四八から六四六まで。花鳥と役者絵、判型が三通り。戦争の年に東洋の版画が買われた事情を読みたい。番号の記号と寄贈者の頭文字は、偶然に一致している。

  • 名画の楽しみ方

    同じ二語が、百年ぶん並ぶ——ロジャーズ基金で買われた722点

    一九〇三年から二〇〇〇年まで、同じ財布の名が出所の行に並び続ける。名を持つ人は一九〇一年に亡くなっている。元本を使わず利息で買う仕組みが、唐の俑から江戸の鹿までを館へ運んだ。その一世紀を読みたい。作者の欄に九百年ずれた人名が入る例もある。

  • 美術史・技法

    名前が、書かれるようになる——1872年から1888年、館に最初にものを渡した六人

    ある年を境に、出所の行に個人の名が入りはじめる。富裕な一族の当主、画家の妻、牧師、商人、初代の代表、そして後に数千点を遺す家の名。十六年ぶんの九点で、寄贈という約束が成立する瞬間を読みたい。三枚を一つの額に収めた作品も含まれる。

  • 美術史・技法

    公募で買った千点——南紀男山焼・永樂保全ほか、名前のない出所の行

    誰が払ったのかが書かれない行がある。公募による購入。数名の紳士による寄贈。画家の友人たちによる公募。そして匿名。人数が多すぎるか、名を出さないと決めているか。名前が消える四つの型を並べたい。寸法の欄が合わない皿もある。

  • 美術史・技法

    出所の行が、一行しかない——「購入、1871年」の九点、メトロポリタン美術館

    寄贈者の名がない。基金の名もない。買った、とだけ書いてある。番号は一七〇まで伸び、主題は花・海・夜・室内・町・鳥・聖書・顔が一つずつ。建物より先に中身を買った館の、いちばん最初の一行を読みたい。支持体は板と布の二種類に割れる。

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