COLUMNSコラム
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大理石は、削るしかない——ロダン・パーマー・エーレトほか九点
粘土は足して直せ、青銅は型から何度でも出せる。大理石は削るだけで、削り残しがそのまま意匠になる。九点を数えると、原型から十七年後に彫られた像、題にあって材料の欄にない天板、光だけを通す透かし格子があった。一方向の作業をめぐる記録である。
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ガラスは、透けないことが多い——タルボット・ボスハールト・ボスほか九点
古いガラスは青い石の代用で、鏡は裏に金属を貼って透けなくしたもの。ガラスの九点を数えると、向こうを見せていたのは半分に満たなかった。絵や写真は透明そのものではなく、縁の光と輪郭の重なりという、透明であるしるしのほうを描いている。
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七宝は、褪せない——ル・バスティエ・清風与平・カトリンほか九点
硝子の粉を火で溶かして作る色は、光にも空気にも強い。七宝の九点を数えると、瑪瑙に似せた嗅ぎ煙草入れ、褪せない写真、絵の仕上がりのたとえ、草原の花を指す動詞まで幅があった。石を真似る技法であり、絵に真似られる面でもある。火で固めた色の記録である。
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釉は、覆いながら見せる——尾形光琳・カリエール・パプティほか九点
焼き物の釉も、絵に薄く重ねる透明な層も、下を見せながら覆う。釉の九点を数えると、七点までは隠さずに透かし、錫を混ぜた一点だけが土を消していた。四百年あとに加えられた赤い市松も、題にあって材料の欄にない布の艶出しもある。覆う層をめぐる記録である。
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漆は、刷れない——神坂雪佳・勝川春章・歌麿ほか九点
漆の見どころは艶と層の深さだが、版画は艶を刷れない。漆にまつわる九点を数えると、実際に塗られているのは二点だけで、あとは平らな黒として描かれ、技法の名になり、模倣の源泉になり、巻物を納めていた箱として記録にだけ残っていた。見えない層をめぐる記録である。
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白は、金属から来る——ガルビエーリ・デ・メナ・ターナーほか九点
鉛から鉛白、錫から白い釉、そして銀はそのまま白い。白い材料をめぐる九点を数えると、六点までは白が金属につながり、そのうち二点は空気の中で黒く変わっていた。館の記録は変色したことまで材料の欄に書き込んでいる。明るいはずの場所から先に暗くなる記録である。
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青銅は、いつ作られたのか——ロダン・セント=ゴーデンズ・ルドンほか九点
型があれば同じ像が何度でも出る。青銅の九点を数えると、五点までは作られた年が一つに決まらず、館の記録は原型の年と鋳造の年を分けて書いていた。中身が詰まっているかどうかで三百年の差が判じられ、陶が青銅の形を借りてもいる。複数あることを引き受けた材料の記録である。
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真鍮は、金の位置に立つ——湯萬亨・ファベルジェ・ドゥフェネクほか九点
銅と亜鉛を混ぜれば、金に似た色が安く手に入る。真鍮の九点を数えると、婚礼の柄鏡と鋳られた頭像を除く七点で真鍮は主役ではなく、鍋の把手、甲冑の鋲、ケースの金具、そして絵の具で描かれた小さな器になっていた。似ていることを引き受けた合金の記録である。
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鉄は、言葉として現れる——尾形乾山・陳洪綬・セザンヌほか九点
鉄でできた作品は九点のうち一点だけ。あとは焼き物の黒い枝になり、プロヴァンスの土の橙になり、細く均一な線の呼び名になり、機関車の名になり、戦士の名になっていた。安く重く錆びる金属が、材料の欄より説明文と題の中に多く現れる記録である。
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銅は、下にある——プラクシテレス・カラッチ・モリゾほか九点
鍔の象嵌、箱の側面、青銅像の唇。銅の使われた九点を数えると、五点までは銅が表面ではなく下にあり、油彩の板、版の板、七宝の地として絵に隠れていた。釉に溶ければ赤や紫になり、題の中では首長の呼び名になる。安くてやわらかい金属の記録である。
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黒は、一色しかない——秋月等観・アンドレア・デル・サルト・ホーマーほか九点
墨は水で薄め、インクは線の間隔で、メゾチントは黒い版を削って明るくする。黒の絵を九点数えると、階調の作り方は材料ごとに違い、家具の黒は高価な木への擬装で、魚と山の黒は画面になく題の中だけにあった。一色しかない色の、使い分けの記録である。
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作品を知る
白は、足すか残すかで意味が変わる——アルトドルファー・韓幹・ベローズほか九点
足された白は面から浮き上がり、残された白は地に沈む。九点のうち三点で白は筆や石として持ち込まれ、二点では塗らずに残されていた。そして三点では、白は酒の呼び名と、期待の名と、人の姓である。置くか残すかで、白の意味が変わっていく。
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作品を知る
紫は、青と赤のあいだで揺れる——ブリオーニ・ターナー・ルンゲほか九点
混ぜて作る色なので、配合しだいでいくらでも位置が変わる。九点のうち四点は青に寄り、二点は赤に寄っていた。そして二点では、題の紫と画面の色が一致しない。赤や黄では、ここまでの揺れは起きなかった。揺れることを引き受けた色の記録である。
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緑は、揺れることで効く——ドア・ブリオーニ・モーリス・ドニほか九点
赤は面積で効き、黄は地になり、青は面になった。緑はどれとも違う。釉として流れ、混ぜれば片方が褪せ、光の角度で濃さが変わる。九点のうち三点で、緑は一様でない面として現れていた。一つに定まらないことが、この色の性格である。
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作品を知る
黄は、地になりやすい色である——清風与平・北斎・モリスほか九点
鉢の外側も、ガラスの皿も、山肌も、面を覆っている。九点のうち五点で、黄はほかの色を載せる下の面だった。赤とはちょうど逆である。そして一点では、黄は時が生み、修復で取り除かれた色だった。下にあることで働く色の、静かな記録である。
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作品を知る
赤は、面積の小ささで効く——コワペル・フラゴナール・ムンクほか九点
外套の裏は画面の十分の一もなく、緑の山の仙人は指の先ほど、森の柵は百分の一もない。それでも赤は真っ先に目に入る。九点のうち六点で、赤は最小の面積で最大の注意を集めていた。少ないほど強いという、面積の逆説の記録である。
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美術史・技法
染付は、真似の技法である——清風与平・サン=クルー・シャンティイほか九点
九点のうち四点の記録に、倣うという意味の語が入っている。輸出用の器に倣い、輸入された磁器の色を真似ようとする。その途中で青がにじみ、地が灰色になった。失敗の跡が、記録に書き残されている。真似の途中が、そのまま残された記録である。
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美術史・技法
青は、面でしか使われない——ホフマン・ドッシ・モンドリアンほか九点
赤や黄は線にも点にもなる。九点の青はほとんどが面だった。空、衣、帯、影。線として引かれた青は頭文字の枠だけである。そして三点では、青は陣営の名と金の空と技法欄の外にあり、一滴も使われていない。面としてしか働けない色の記録である。
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美術史・技法
銀は、量られる金属である——タイラー・デュボワ・アル=マウスィリーほか九点
金の記録が書くのは厚みと場所だった。銀では、それが重さと純度になる。九点のうち三点で記録は量か純度に触れ、一点は「銀を使っていない」ことを長所として挙げる。残る二点で、銀は雪の名と色の名だった。同じ白い金属でも、書かれ方がまるで違う。
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美術史・技法
金は、厚みで語られる——メソニエ・ロッセリーノ・イーゼンブラントほか九点
純金の箱と、銀に掛けた金鍍金は見分けがつかない。それでも記録は二つを別の語で書き分ける。九点のうち金が実際に使われているのは六点で、面として広がるのは二点だけ。残りは線か帯か、剥げ残った痕である。記録の言葉と、目に見える量が食い違っている。
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